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21.結婚式の打ち合わせ

「で、ケーキとごちそうは準備できると思う」

 家に着き、紅茶をいれた大翔が食堂の椅子に座って言った。

「そうか……出来たら神父も来てもらいたいよな」

 俺も大翔が淹れてくれた紅茶を飲みながら、言った。

「そうだね……でも、引き受けてくれる人いるかな?」

 大翔は困ったような顔で呟いた。


「とりあえず、ケーキの材料とごちそうの内容を決めようか」

「そうだな」

 俺たちは顔を突き合わせて、大体のメニューを決めた。

「あとは、明日決めよう」

 俺が言うと大翔も頷いた。

「そうだね」


 翌日、外を見ると小雨が降っていた。

 二人で朝食を食べ終わった後、大翔は外出の準備を始めた。


「今日はちょっと出かけてくるよ」

 大翔はコートを着て、帽子をかぶりながら俺に言った。

「なんだ? 大翔、なにか用事があるのか?」

「うん、ちょっとね」


 俺は家を出て行く大翔に尋ねた。

「俺も一緒に行こうか?」

「一人で大丈夫だよ」

 大翔は家を出た。

 一人残った俺は、白いテーブルクロスを出したり、部屋の掃除をしたりしていた。


 お昼になる少し前に、大翔が戻ってきた。

「おかえり、大翔」

「ただいま」

「用事はすんだのか?」

「うん。ばっちり」

 大翔は嬉しそうに頷くと、コートを脱ぎ、帽子を帽子掛けにかけた。


 昼食にキノコのパスタを作っているとアイラがやってきた。三人でパスタを食べていると、玄関のドアがノックされた。

「はい」

 大翔がドアを開けると、ホークとアンが現れた。

「こんにちは、健さん、大翔さん」

「こんにちは」

「今日は、結婚式の打ち合わせをしたくてやってきました」

「どうぞ、お入りください」


 俺たちは食べかけのキノコパスタをどうしようか悩んでいると、ホークが言った。

「まだお食事中でしたか。失礼しました。どうぞ、食事を続けて下さい」

「それじゃあ……もう少しお待ちください」

 俺たちはホークとアンにお茶を出してから、急いで食事を終えた。

 アイラは食堂の隅で、静かにしている。

「急に来てしまって申し訳ありません」

「いえ、こちらこそ、ちゃんと打ち合わせの予定を立てていなかったので……失礼しました」

 大翔がホークに頭を下げると、ホークとアンは恐縮して立ち上がった。


「あの、大丈夫ですので、座ってください。で、結婚式の段取りなんですが……」

「はい」

「まず、参加者の方々にお店に入っていただいて、そのあとホークさんとアンさんに、お店に入っていただこうと思います。そして、ホークさんとアンさんに挨拶をしていただいて、ケーキを切り分けていただいて、会食、という流れで考えています」

 大翔の説明を聞いて、ホークとアンは頷いた。


「あ、あの、私、持ってきたものがあるんですけれど」

 アンが玄関に置いていた大きな包みを持ってきた。

「これなんですけど……」

 アンが包みを開けると、イノシシがごろんと転がった。

「イノシシ!?」

「はい。森で捕まえたので、持ってきました」


 アンはにっこりと笑った。

「じゃあ、このイノシシを使ってご馳走を作りますね」

「お願いします」

 大翔はイノシシをキッチンの端に置いてから、二人に話しかけた。

「当日は、ホークさんとアンさんは着替えをもって早めにここに来てください」

「はい、分かりました」


「それでは、よろしくおねがいします」

「はい、お待ちしています」

 ホークとアンが帰ると、大翔は俺に言った。

「アンさん、力持ちだね。あのイノシシ、ものすごく重かったよ」

「そうか」


「結婚式するの? ここで?」

 アイラがやってきて俺たちに尋ねた。

「うん、そうだよ。アイラも手伝ってね」

「分かった」

 アイラはにこにこと笑いながら、大翔のそばを飛んでいた。


 結婚式の前日まで、料理を作ったり、飾る花を手配したり、俺たちは忙しく過ごした。


 そして、結婚式の日がやってきた。


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