2−2 亜たま真っ白ヶの中
「あれは……アカの仲間の、英語の人? こっちは、見たことあるけど……そう、たしかモクバ。ライズの友達。ライズ……起きてる〜? …………まったく。寝頃、グラ、トゥルゥ、そっちは起きてるかい? 味方が来るから、それまであれ抑えられる?」
「だりぇ〜?」
「無理」
「やっりまぁすよぉぅ……拒否した後は嫌だし」
「で、近くにいるでしょ? ヴァルリア。優愉 響の能力でわかってるんだ。出て、目前に来い」
「――――そう、ですか。彼女は駄目でしたか」
「ヴァルリア、あのゲーミング囚人は純正じゃない。自分のテリトリーにいる奴の顔をまだ覚えられないの? それと、廻陸に力を譲渡しろ。あの時されたように」
「…………マシンガントークは聞けません」
「じゃあ言い直そう、リア・アラス。僕の為に魔法少女として死ね」
「なぜ、彼なのですか。なぜ彼にこだわるのですか」
「……僕の能力は流石に覚えてるだろう?」
「《出私》……無限ループ的に、分岐した世界を渡る能力、でしたか」
「九点かな。その他に、今まで汲んできた歴史を手稿として遺すことができる。この、廻陸が知りたがった本がそれ」
「九割ですか、意外と高い」
「百点中のだよ、表面しか見れてない。それでも覗き魔か?」
「勝手に言われてるだけなんですが……!」
「もし、同じ展開を繰り返すだけなら、とても楽だったのにね。僕は魔法少女とは違って放棄できない。規模と責任が大きすぎる、あまりにも。廻陸は、そんな中でも唯一、億千万兆と煌やいて、先を、足元を照らしてくれる、唯一の、僕の、僕の可能性だったのに」
「ずっと不安定ですね」
「ああそうだね、薬を頼むよ、あいつら全員殺した後で貰う」
「簡単にできるでしょうに」
「運命とは身勝手な何かが『斯く在れかし』とした不自然のシチュエーションで、他人が首を突っ込めない安全設計の下に整えられている。今はライズの運命、ライズの時間、ライズだけの決着を落とさなければいけないシチュエーションにある」
「難しい言葉遣いですね。では取り巻きを消して、彼をひとまず回収するのが良ろしい行動ですか」
「苦労を知らないクソみたいな台詞回しだね、似た相槌を繰り返し繰り返し、難しいことではないかのように。
で、さ。ライズ、起きろよ。今は君が主役なんだ、間抜けた途中退場は許されない」
「――――――ぁっ!?!?」
「漸越そ、おかえり。走馬灯は済んだ?」
「私は………………いや、知らない、知ってたまるか」
「グーッド、もっと頭を回してー? じゃあ、ヴァルリア、少しは頼むよ」
「想う程は頼まれませんが、せめて見ておきますよ」
「客観的な言葉、嫌いだよ。お前のは特にな」
「悪い口のようで、お互い様です」




