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016:鍵, 銀, マグカップ

この学園には七不思議がある。

その中の一つに『家庭科準備室にある開かずの収納棚に魔法の道具が保管されている』という不思議がある。

魔法なんて存在しないのにこんな噂があるため、貴重なものがあるんじゃないかと言われている。


キーンコーンカーンコーン


掃除時間終了のチャイムが鳴る。

僕達は5人で家庭科室の掃除をしていた。


「よーし、教室に戻ろうぜ」

「よっしゃ、じゃあ、カギ返しに行くやつ決めるか」


「「「じゃんけん、ぽん」」」


パー、チョキ、チョキ、チョキ、チョキ


「そんなっ」

「任せたぜ」

「よっしゃ、カギよろしくな」

「先に戻ってるね」

「また後で」


一緒に掃除をしていたメンバーがそのまま教室に帰っていく。

1人残された僕は机の上に置いてあるカギを取り、戸締りをしていく。


-家庭科準備室-


七不思議の一つである棚が置いてある。

準備室には机といすが1セットあり、奥の方に収納棚が置いてある。

収納棚の上はガラス戸になっており、中には包丁が保管されている。

下には金属の戸があり、中身が見えなくなっている。

いつも、掃除で中に入るがさすがに棚の中まで掃除しないため、実際に何が入っているかわからない。

準備室の扉を閉めようとすると床に見覚えのない鍵が落ちていた。

家の鍵というには小さく、棚の鍵穴に入りそうな大きさの鍵だった。


「これって棚の鍵なのかも」


その日は何事もなく、戸締りを行い、教室に戻ることにするのだった。




数日後


「「じゃんけん、ぽん」」


パー、チョキ


「久しぶりに勝ったぜ」

「連敗記録更新ならずね」

「先に戻ってるな」

「また後で」

「あ、うん」


戸締りを決めるじゃんけんで久しぶりに負けた。

ブレザーのポケットにずっと入れてあった鍵を試すチャンスがやってきた。

前回、見つけてから少し時間が経ったがようやく試すことができる。

少し早足気味に戸締りを終わらせ、準備室へと向かう。

開かずの棚の鍵穴に鍵を差し込んでいく。


カチャリ


「開いた」


棚の金属の戸を開けると黒くなったスプーンが一つだけ置いてあった。

スプーンを手に取ると特に代わり映えのしないただのスプーンのようだった。

ハンカチで少し磨くと少しだけ黒いものがキレイになった気がする。

棚に再度、鍵をかけスプーンをポケットにいれて教室に戻っていった。




「これって銀なのかな」


家に持ち帰りスプーンをキレイに擦っていくと銀色の光沢が出てきたのだ。

科学の教科書か何かで『銀は放置すると黒くなる』と見た気がする。


「銀って高価なやつだよね。返さないと」




次の日


「「じゃんけん、ぽん」」


グー、パー


「お、負け運が離れたぜ」

「連敗記録更新楽しみだね」

「先に戻ってるな」

「また後で」

「うん」


戸締りを行い、銀のスプーンを返すために準備室へ向かう。

右手に棚の鍵を持ち、左手にスプーンを持った状態で扉を開けた。

机の上に先生が愛用しているマグカップが置いてあった。


「先生が忘れて帰ったのかな」


マグカップを持とうとするとスルリと滑りマグカップが床に落ちてしまった。


ガッシャーン!!


「やばい、まずは破片を集めないと」


鍵を机の上に置き、手に持っていたスプーンで破片を集めようとした、その時。

破片と当たったスプーンが輝きだし、咄嗟にスプーンから手を放し、目をふさいだ。

目を開けるとそこにはただのマグカップがあるだけだった。


「魔法?」


マグカップを手に取るがただのマグカップだった。

先ほどまで割れていたものには見えない平凡なマグカップだ。

マグカップを机の上に戻し、周りを見回す。


「あれ、ない」


鍵と銀のスプーンが見当たらない。

魔法で消えたようだった。


この学園には七不思議がある。

その中の一つに『家庭科準備室にある開かずの収納棚に魔法の道具が保管されている』という不思議がある。

魔法なんてと思っていたがホントはあるのかもしれない。

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