013:テーマ:2022, 逃走中, カエル肉
ぼくたちの闇肉
正月のある日、友達と闇肉を行うことになった。
闇肉とはそれぞれ自分以外には不明な肉料理を複数人で持ち寄り、食べる闇のイベントである。
お皿に盛った肉は食べなければならないというルールがある。
「やっと来たか、あけおめ、ことよろ」
「久しぶり、あけおめ、ことよろ」
「あけおめ、ことよろ、二人とも早いね」
闇肉の企画者である、つるいちさんの家にそれぞれが肉料理を持ち寄って集まった。
新年ということで軽く挨拶を行い、早速家に入る。
家に入ると部屋の入り口付近に福袋が置いてあった。
机の上にはクローシュで中身が見えないようになっている皿が置いてある。
「にじゅうとにそじは何を作ってきたんだ」
「俺はこれだぜ」
にじゅうはそういうと角煮のような肉の塊が入ったタッパーを取り出した。
「ぼくはこれを作ってきたよ」
ぼくはソイミートで作った『ソイミートの唐揚げ』の入ったタッパーを取り出した。
「二人ともうまそうだな。俺はこんなのを作ってみた」
つるいちさんはそういうとクローシュを開けた。
手羽元のような骨付きの肉が皿に盛られていた。
「ルールの確認だが取り皿に取った料理は間食することだからな」
取り皿が配られ、それぞれが作った料理を盛っていく。
主催者ということでつるいちさんがまず食べ始めた。
「この角煮みたいなやつうまいな。何の肉なんだ」
初めにつるいちさんはにじゅうが持ってきた角煮のようなものを食べた。
結構好評なようでそのまま皿に盛った角煮のようなものを食べていく。
「ラム肉で作った角煮なんだよ。うまいだろ」
角煮のようなものはラム肉で作った『ラム肉の角煮』のようだ。
おそるおそる僕も皿に盛った角煮を口に運ぶ。
ラム肉の独特な歯ごたえがあるが肉によく味が染みていておいしい。
「次はこの唐揚げだな。こっちもうまいな」
「うまいけど、なんか普通の唐揚げと違うような気もするな。何で作ったんだよ」
つるいちさんとにじゅうが『ソイミートの唐揚げ』を食べた。
唐揚げは普通に美味しいが違和感を持たれたようだ。
「それは畑のお肉で作った唐揚げなんだ」
「大豆で作ったってことか」
「ソイミートってやつか。オシャンかよ」
二人に『ソイミートの唐揚げ』が好評だったので頑張って作ったよかった。
残るはつるいちさんが作った手羽元のようなものだ。
「最後はオレのやつだね」
「食べてみるか」
にじゅうはつるいちさんが作ったものを手に取る。
「うまいな。鳥とは違うし何の肉なんだよ」
鶏肉とは違う手羽元らしい。
「あぁ、それは『カエル肉の手羽元』なんだ」
手羽元のようなものは『カエル肉の手羽元』だったらしい。
ぼくはカエル肉から逃げるために席を立ち逃亡を図る。
「あ、おい、逃げるな」
つるいちさんがぼくの逃亡に気づき声をかける。
急いで逃げようとして逃走中に部屋の入り口にあった福袋を倒してしまったが仕方ない。
「オレの福袋が。絶対、逃がさないからな。にじゅう、カエル肉持ってこい」
つるいちさんはにじゅうに指示を飛ばし、追いかけてくる。
玄関まで残り2.022mくらいで捕まってしまった。
「にそじ、捕まえたぞ」
「カエル肉食わせてやるよ」
ぼくはつるいちさんに捕まり、追ってきたにじゅうにカエル肉を口に無理やり入れられる。
鳥とは少し違う触感だが味はマズくない。
「これは2022年の福袋の分だ。2022円分のカエル肉を味わえ」
つるいちさんは部屋にあるカエル肉をまとめて口に入れようと差し込んでくる。
最後にドタバタしたがぼくたちの新年のイベントは楽しく過ぎていくのであった。