初めてのデート
初めてのデートは、住んでいる町を離れ、山あいにある町に行くことにした。
地域情報誌を見て、デートプランを立てた。
今なら、インターネットで色々な計画が出来る。
車にもナビゲーションが当たり前だ。この時は、本が頼りだった。
その町にある美術館と、古民家などがあるキャンプ場に行く予定だ。
今は、県内に高速道路が整備されているので、比較的スムーズにたどり着くことができる。
しかし、この当時は高速道路が無く、国道をずっと走るため、余分に時間がかかった。
2時間程度はかかる道だ。
初めてのデートで、いきなり長距離ドライブという無謀なプランだった。
若い二人なので可能であったが、今思うと遠すぎた気はする。
女性の扱いに慣れていないため、細かな気配りができない自分であった。
気を付けたのは、お手洗いはこまめに取れるように心掛けたことである。
日曜日のデート当日、初めてのデートである。
それまでの人生で、女性とデートしたことは多少あったが、今回のデートは格別であった。
幸いなことに、天気は晴れだった。
何よりも、一目惚れの彼女が、狭い車内に一緒にいてくれる。
そのことだけでも非常に心がときめいた。
この前と同じ道を走り、彼女の家の近くで右折し、踏切がある道へ入った。
この前は夜であったので、周囲の状況が分からなかった。
右折して入った道は、歩道が無くやや狭かった。
少し進むと、小さな川が流れていた。短い橋と欄干が設置されていた。
その先に遮断機が見えた。ここがJR線の踏切だった。
踏切を通り、カーブしている道を進むと、住宅が建ち並んでいる所に着いた。
まだ彼女は来ていない。車を国道方向に向け、彼女を待った。