白衣の彼女
2日後の夕方、仕事帰りに町中心部のスーパーで買い物をした。
この町で買い物する所は、いくつかあるが、職場からすみかに帰る流れでは、このスーパーが利用しやすかった。
スーパーの駐車場を出て、隣接する一方通行の道を通ると、すみかへ帰る国道に出ることができる。
いつも、その一方通行の道を使っていた。
ただ、今日からは、その道で意識することができた。
一方通行の向かいに、彼女が勤務する内科医院があるからだ。
それまで、意識することなく、その医院の看板を見ていた。
その一方通行の道の両側の歩道は、屋根がついており、細長い商店街となっていた。
今日は意識しながら、車を走らせ、その道に出た。
すると、医院入り口前で掃き掃除をしている白衣の看護師さんの姿が目に入った。
彼女だ。すぐに気づいた。窓を開けて、声掛けをした。
「あさって、行くからね」自分は、そう言った。
彼女も気づいて、笑顔を見せてくれた。
「はい」と言って。
お見合い前に受け取っていたスナップ写真と同じく、可愛い笑顔だった。
この時の笑顔は、今でも自分の心の中に、大切に残っている。
今では、色々な白衣を見ることがあるが、彼女の着ていた白衣は、文字通り純白のものであった。
彼女の仕事帰りに会う時は、必然的にスーパーの駐車場で待ち合わせすることになった。