前を向いて
彼女のことばかり、書いてきたが、長年連れ添ってくれている嫁さんには感謝している。
それは当然のことである。
色々と苦労をかけてきた。 至らない私を支えてくれている。
娘のこともそうだ。 私が名前を付けた一人娘だ。
赤ちゃんの時には、夜勤以外の日は、私が娘を湯に入れた。
大事であることは言うまでもない。 そのことは言っておく。
それだけに、今回の葛藤は、より深いものとなっている。
目の不自由さを抱えながら突如起こった、心の問題は私に追い打ちをかけた。
1年経った今でも、苦しみは続いている。
遥か昔に別れた彼女のことで、これほど激しく心を揺さぶられるとは思っていなかった。
彼女は、「まぼろし」 のまま、私の心に残り、そして、私を苦しめるだろう。
私には、「まぼろし」 の扱い方が今でも分からない。。
少しでもそれを助けてくれるのは、彼女本人しかいない。 しかし、それは叶わないだろう。
彼女の「まぼろし」 を消したい。 しかし、私の心はそれを拒んでいる。 何故だ。
付き合いの最後に、残酷な想いを残した彼女。 想いを消したい。 でも出来ない。 矛盾している。
心は、彼女を求めている。 愛する気持ち、うつくしむ心。 それが、私には彼女なのだと。
付き合っていた期間は、半年ほどの短いものであった。
しかし、彼女との想い出は、今も私の心に大きく残っていた。長い歳月を経て、そのことに気付いた。
手も満足に握らないまま彼女と別れた。 体の結びつきは無かった。
それでも、彼女が愛おしい気持ちは、いっぱいある。
結ばれなかった、切ない気持ちも、一緒になっているのかも知れない。
目が不自由になり、強制的に人生の歩みが止まった今、無意識のうちに、彼女の存在を想い起していた。
いつかは、その気持ちが、私の心の中で 「じっと」 してくれることを願っている。
それには、彼女を否定する気持ちが大きくならないと難しいかも知れない。
嫁さんには申し訳ないが、私の心の中に置くので、勘弁してもらいたい。
私を振った彼女にも、お願いしたい。
葛藤の日々の中、WEB小説があることを知った。
目が不自由な中、試行錯誤しながら、少しずつ彼女への想いを紡いだ。
前を向いて生きるために。
そして、今回この小説として、掲載した。
多くの問題が噴出している今の世の中。 のん気な話だと思われるかも知れない。
また、自分のことばかり考えていると、軽蔑する人もいるだろう。
しかし、人間は心の生き物である。 心が壊れると、もろいものである。
私のことを分かってほしいとは言わない。言えない。
今は、彼女への想いをかみしめながら、ゆっくりと、自分に出来ることを探しながら日々を生きるしかない。
最後の章に、彼女への手紙を載せて、私の話を終える。
最後の章は、「彼女への手紙」です。
彼女本人に宛てて書いています。非常に少ない可能性ですが、彼女が読んでくれたらと思っています。
個人情報が出せない現代。場所も明かせません。
それでも、彼女が気づいてくれることを願っています。
なお、万が一、彼女から何らかの要求があった場合、この作品の掲載を止めます。




