彼女との初めてのドライブ
彼女を乗せて、彼女の家の方面に車を走らせることにした。
おじさん宅で、彼女の家の地名は聞いていた。
すぐ前を通っている幹線道路から、彼女の家の近くにある喫茶店に向かった。
「ここまでバスで来たの?」聞いてみた。
「そうなんよ。この路線は初めてやったから、待合所で聞いたんよ」 彼女はそう答えた。
「自分は、普段バス乗らないから、路線も全然分からないよ」 自分は、そう返した。
町の中心部を抜け、国道を北方向に走った。
途中で国道と並走する形で、JRの線路が右に見える道となる。
谷間を蛇行しながら国道が続く。
しばらく走ると、国道が大きく左に曲がり、JR線も同じように左に曲がる所に差し掛かった。
その時、「この向こうが、自分の家なんよ」 と彼女が言った。
「あ、そうなんだ」私はそう答えた。具体的な場所を教えてくれ、嬉しかった。
夜で、周りの風景が分からなかった。
それまでにこの道路を行き来している感じでは、住居は少なく緑の多い場所の印象だった。
彼女の話によると、車の免許は持っていないので、バス通勤とのこと。
先ほど、彼女が家の場所を教えてくれたあたりに、バス停があるらしい。
道路沿いに店が立ち並んいるエリアを過ぎると、右左に曲がりくねった道に差し掛かった。
しばらく走ると、短いゆずり車線があり、緩やかな登りから急激な下りへと道が変わった。
その下り道を少し進むと、喫茶店のある場所となる。
急激な下りでスピードも出るので、速度に気を付けながら車を止めた。