彼女との別れ 2
この前の産婦人科医院での自分の行いは、確かにまずかった。
それを、分かったから、彼女の家に行ってお詫びをした。
それでも、許してくれないのか。
彼女の真意が分からなかった。
落胆は激しかった。それと同時に、彼女への怒りが、その時初めて起きた。
裏切られた思いだった。
「分かったよ。そんなのかよ」 スーパーに入り、2階に向かっている彼女に、震える声で叫んでいた。
初めて、彼女に大きな声を上げた瞬間であった。
お昼過ぎであり、スーパーには、人が多くいた。
しかし、それどころではなかった。自分にとって。
彼女は、その言葉に一瞬体が動いた。 しかし、振り返ることは無かった。
最初で最後の大声は、自分と彼女の関係を断ち切るものになってしまった。
それまで、少しずつ関係を温めてきた。そのつもりだった。
彼女も、手編みのセーターを作ってくれるなど、自分に向き合ってくれていた。
それが、こんなにもろく崩れ去るとは。
好きで好きでたまらない彼女、時機は早かったがプロポーズしていた相手、その彼女と別れることになった。
自分の愚かしい行為で。
彼女の笑顔が何よりも好きだった。硬い表情の彼女、別れの言葉、心に突き刺さった。
「私とは合わない」 最後の言葉だった。
彼女の姿を見たのは、これが最後だった。
自分の知っている彼女は、ここまでだった。
思えば、どれだけのことを知っていたのだろう。彼女のことを。
スーパーの入り口で呆然と立ちすくみ、しばらく動けなかった。
このパート(部分)を書いていました。
彼女の姿を見たのは、これが最後だった。
この一文を書いていて、息が止まりそうになっている自分がいます。
激しい後悔が続いています。今になって。




