無言の彼女
更に次の日に電話したところ、彼女が取り合ってくれなかった。
ようやく事の重大性が分かった。現状認識が甘すぎた自分は、その夜に彼女の家に押し掛けた。
それまでとは違い、所有していたスクーターで彼女の家の前まで行った。
彼女に無断で押し掛けた。
彼女は怒っていた。初めて彼女が見せた態度であった。
彼女は、夜の食事の後片付けをしており、終わると奥の部屋に行ってしまった。
自分には目もくれずに。
ご両親に、この前の非礼を詫びた。
菓子折りは、近くのスーパーで買っていった。
父親が、「(君が)頼りないから、頑張らないと」 のような内容のことを、自分に話した。
その時は、聞き流していたが、今思うと彼女とご両親の間で、話をしたと思う。
「あの男では、頼りないから、お前(彼女)には合わないぞ」
父親がそれくらいのことを言っていたかも知れない。
結婚のことで揺れていた彼女も、自分との関係を断ち切る決心を固めていたのだろう。
自分が行った時は、もう遅かった。今思えば。
しかし、あの時の自分は、まだ大丈夫と勝手に思い込んでいた。
自分のその後の人生に、彼女がいないことになるとは思っていなかった。
次回は、ついに・・・
自分にとって、避けたかった現実です。




