揺れる彼女
この頃には、彼女は結婚を決めることを、両親に話していたと、後で知った。
これは、職場の上司と彼女の父親が、酒の付き合いがあり、上司に話していたからである。
自分にも、デートの時に、結婚について話していたことがあった。
「結婚式はしなくて良い」 「写真だけは記念なので撮りたい」
目立つことをしたくなかったのか、経済的な理由か、それは分からない。
そんなこともあり、自分は少し安心しすぎていた気がする。
慎重に行動する必要があった。
ただ、彼女は揺れていたと、今思っている。
自分が気付いていない「合わない」部分があったようだった。
今となっては、それは分からない。彼女と話をしない限り。
そんな彼女が、結婚を決断するため、ある「試験」を自分にしてきた。
「試験」に通れば、結婚に向けた行動が待っていたのかも知れない。
彼女も「試験」の結果で、決めようとしたのだろうと。
ただ、その「試験」は、易しいものにしてくれていた。
自分は、気付いていなかった。その「試験」の重要性を。
運命の「試験」の日が迫っていた。
これで、「かけがえのない時間」の章は、終わりです。
この続きのまま進めば、私の人生は違っていたでしょう。
次の話から、「さまよう心」の章に入ります。
書いている自分でも、重く苦しい展開です。
現在までの、私の歩みです。




