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彼女をすみかへ
自分のすみかには、1回連れて行った。
殺風景な男の部屋に、ためらわずに入ってくれた。
二人でテレビを見たくらいだった。
今思えば、手くらいは握れば良かったと感じている。
彼女と深い仲になりたい、抱きしめたい。本心ではそう思っていた。
しかし、いきなりそれをして、彼女に嫌われるのが怖かった。勇気・意気地が無かった。
また、彼女を本当に大事に想っていたので、そうしなかった気持ちもあった。
関係が進展すれば、自然とそうなっていただろう。
その日、階上に住んでいる職場の上司が見ていた。
「ショートカットの可愛い子やね」 仕事の時に、その上司に言われた。
悪い気はしなかった。いや、誇らしかった。
しかし、笑顔の彼女を見る時は、少なくなっていた。
その時の自分には想像も出来なかった。




