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手編みのセーター
年が明け、久しぶりのデート。
嬉しかったが、「会わない間、どうしていたんだよ?」 という気持ちもした。
しかし、思いがけないプレゼントを彼女から貰った。
「これ、作ったんよ」 彼女がそう言って、包みを自分に手渡してくれた。
「え、何?」 そう言って、自分は受けとった。
包みを開けてみた。黒い手編みのセーターだった。
クリスマス・年末年始とデートの間隔が空いて、自分は寂しかったが、理由が分かった。
ずっと、これを作ってくれていたんだ。自分のために。感激だった。
「ありがとう」 そんな言葉しか言えない自分だった。
今なら、もっと大げさに感謝を伝えることが出来るのに。
オーバーに喜びを表現できない自分、彼女に申し訳なかった。
二人の関係が縮まった気がした。
次のデートの時に、そのセーターを着て行った。
彼女は「着てくれたんだ」 と嬉しそうに言った。




