↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
1/1

希望

ムシュとライドーは、ブラクリア自然保護区にありったけの財宝を求めて、潜入しようとしている。

ブラクリア自然保護区は、政府が直々に手厚い監視をしており、半径42kmからは、一般人が潜入することは、断じて禁じられていた。

それにブラクリアの周囲には、593mの厚いコンクリート塀がそびえ立っており、民衆は、それをタワーウォールズと呼び、奇怪に思った。

狂ってるほどに過剰防衛されたブラクリアには、全てを手に入れた王様でさえ、目が飛び出るほどの財宝が眠っているのではないかという噂が流れた。

盗賊やトレジャーハンターたちは、冷静にはいられなかった。

その中の1人の男、ハナータは、地上が無理ならば、地下から潜入すればいいじゃないかという、当然ではあるが非現実的な発想を実行してしまった。

ハナータは、政府から察知されないように、20人程度のハナータ調査団で、穴掘り大作戦を、開始したが、とっくにハナータは、亡くなっていた。

初期メンバーは、ブルグンドという、突っついたら崩れ落ちそうな老人、1人だけである。

そんな彼でも穴掘り中には的確な指示を出し、まるで戦乱の世を生き抜いてきた軍師のようであった。

穴掘り大作戦は、終わりに近づいていた。

1回の穴掘りで、往復80km以上あるので泊まり込みで穴掘りをしていた途中、ブルグンドは、泡を吹き、亡くなってしまった。

それからブルグンドの孫のライドーが、指示を出すことになったのだ。

ライドーは、聡明で冷静沈着であり、リーダーになることに、誰も反対しなかった。

そして、ブルグンドが亡くなって間もなく、38年の年月をかけて、ようやくブラクリアを繋ぐ長大なトンネルは、完成したのだ。


秘書:「ライドー様!!ブラクリア地下道の建設が終わられました!!」


ライドー:「今日は盛大に祝おう。」


ハナータ調査団たちは、祝杯を掲げて、リーダーであるライドーは、皆の前に立ち、演説を始めた。


ライドー:「ご苦労であった。ハナータ調査団はここにあり。第二の物語が始まろうとしているのだ。我々の本来の目的は、財宝の調達である。今まさに、新たなる世界が幕を開けたのだ。38年の年月を経て、先代から引き継がれた意思と切っても切れない絆がここにあるのだ。」


ハナータ調査員:「フォォーー!!!!」


ハナータ調査団は、大興奮した。ある男1人を除いて。

盛大な夜は明けて、静寂な朝を迎えてしまった。

ムシュは、財宝を独り占めにするため、事前に念入りな準備をしていた。


ムシュ:(千載一遇のチャンスだ。)


他のメンバーを見下しながら地下道へと向かった。

ムシュは、誰よりも先に、ブラクリアの入り口へと辿り着いたが、そこには、1つの人影があった。


ムシュ:「ラ、ライドー?なぜここに?」


ライドー:「ここにいる理由なんて、君がよくわかってるのではないのか?」


ムシュ:(俺たちは同じ穴の狢ってことか)


ライドーの隠れた一面を見抜いていたムシュは、唯一、リーダーに就任することを、猛反対していた。


ムシュ:「ブルグンドさんは、お前がやったんだろ?」


ライドー:「あの爺さんは、ただの衰退だよ。絶好の機会は、偶然の産物だ。だがここで私たちが出会うのは、腐れ縁かもしれないけどな。」


ムシュ:「困ったものだ。」


ライドー:「ムシュ君、私は君を称賛している。ブラクリアの過剰防衛は、危惧するべきだ。ここで、対立すべきか、協力すべきかは、明確であろう。」


目で語り、心で語り、ムシュの体を揺さぶった。


ムシュ:「あいにく、それが妥当策のようだな。俺たちの本来の目的はお前が言っていた通り、財宝の調達だ。」


ここにして、脆くて、壊れそうな、突貫的な同盟は生まれたのであった。


2人は、ブラクリアに繋がる小さな穴を抜け出し、新たな土地に足を踏み込んだ。


そこは、木々に囲まれており、鮮明に澄んだ空気で、眩しい日差しが2人を照らす。見上げるとタワーウォールズが鎮座している。


ライドー:「現在地は、ハナータ設計図によると、ブラクリアの最西部だ。古代王朝の陰謀説から考えて、文明が興っていることは間違いないな。」


ムシュ:「あぁ。ブラクリアは、一説に、古代人が、異民族の潜入を防ぐために、殺戮兵器プラトンを創造したのだったが、プラトンは意識を持ち始め、手に負えなくなった。そして、政府は、タワーウォールズを建設したと言われている。だがその説には誤解が生じる。今は、その殺戮兵器は、消滅しているか、封印されているか、十中八九、後者の方だろう。つまりは、侵入者に封印を解かれないように、タワーウォールズたるものが出来たのではないか。」


ライドー:「なるほど。強力な兵器は、文明の発展を表す。肝を冷やすほどの財宝が眠っているという噂も真実の可能性が高いようだな。」


ライドーは、代々の指揮官に与えられるブラクリアの地図、ハナータ設計図を見開いた。ハナータが古代書物から推測して、作った設計図よりも細密に改良していたのだ。


ライドー:「目指すは、首都パラスだ。」


2人は、タワーウォールズに背を向け、歩み出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。