産まれる前
「エティーシャ、私の世界の高知能生物に、そっちの世界でルール作れって頼んできたよー!」
「ありがとう、ティニア。僕の箱庭はティニアのものよりかは面白みにかけるだろうが、一緒に楽しもう。」
「しっちゃかめっちゃかでも、それはそれで楽しいわよ!ところで、1つ聞いてもいい?どうして、エティーシャ自身でルールを作らなかったの?」
「僕は、物事を外側から見ることが好きなんだ。近過ぎては全てを見ることが叶わないからね。それより、彼の器を見つけてあげよう。」
「あれなんかどうかな?丁度、意識が生まれる前よ」
「では、あれに幽体を入れてこよう。楽しみだね。」
「ええ、とっても!」
どこだ、ここは……。真っ暗だ。事故を起こして、神に選択を迫られて……。ここが、弱肉強食の世界なのか?「分からない。」と口をついて出た、はずだった。
「ギュ…ギュ……」
驚き過ぎて、心臓の鼓動が一瞬止まったかもしれない。これは一体、なんの体なのか。真っ暗で確認しようもない。本当に異世界に来てしまったようだ。歩いてみようとしたが、何かにぶつかった。
「ギュ……!」
一体、何にぶつかったのか考える暇もなく、地面が左右に揺れた。しばらく待つと揺れは収まった。そこでもう1度試したが、また同じように揺れただけだった。この暗闇から出ることを一旦、諦めることにした。
それから一体どれほどの時間が経っただろう。事故を起こした不甲斐なさ、単位をしっかり取ってこなかった情けなさ、様々なことが後悔となって押し寄せてくる。父親のメッセージも返信してないままだ……。もう事故の連絡も入ったんだろうか。俺の為に泣いてるのだろうか。今までできた数少ない友人たちも悲しんでるだろうか。あー、ピザ屋のバイトも人手少ないのに申し訳ないな。色んなことが思い出されてきて涙が溢れてきた。
「ギュー!」
ここから出なければ!ルールを作るまでは帰れないのだから!
「ギュ…ギュー!」
横に行っても、壁のようなものがあって進めないのならば、上にジャンプするしかない。
「パキッ…パキパキ……」
何の音かは分からないが、光が差した。更にジャンプ!ジャンプ!
「パキパキパキ……パキーン!」