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プロローグ
――グォォォォォ!
私は巨大なドラゴンに相対していた。
ドラゴンは生存競争の頂点に立つ、強大な生き物。
かつてないプレッシャーがおしよせてきた。
けれど私達はひるまない。
ここまで、ダンジョンを歩いてきたのだ、ここで気圧されるくらいならとっくの昔に引き下がっている。
そんな私の横に並び立つのは攻略対象達だ。
背中を守るのは悪役令嬢。
ここから先は、命をかけたラストバトル。
一歩間違っただけでも、死亡してしまうだろう。
ただし勝てば、多大な名誉と富が手に入る。
そんな状況に置かれた自分を、もう一人の自分が冷静に見つめていた。
この殺伐した状況を見て、誰がこの世界を乙女ゲームの世界だと思うんだろうな、と。