1
職業インタビューの課題が出された。
どのような職業を行っているのか。どんなことを毎日しているのか。どのくらい稼いでいるのか。など聞くらしい。けど、なんでそんなこと聞くのかは考えなかった。出された課題に対してそのまま受け取って、ただやる。それが、正解なんだって決めている。
「まず初めにどうして、その職業に就いたのですか?」
「んー、どうだったかな。軽くは考えていたんだけど、んー、そうだな。やっぱり、かっこいいと思ったからかな」
その言葉の通り、真面目に受けてノートに書きこんでいく。
「その職業の一日の流れを教えてください」
そうだね。朝を起きて……なんだか。自分が朝を起きて学校に行って、学校から帰ってきて、宿題をして、夕飯食べて、お風呂に入って、寝るという同じサイクルじゃないか。全く変わらない。変化がない。自分と同じなんだ。平らな道をひたすら歩いていく。たまに躓きそうな石ころが出てきたら、拾い上げて自分の道の邪魔にならない場所に置いたり、ポケットの中に収めたりする。そして大きな岩が出てきたら、自分が道を外れたり、誰かともに押し上げてどかしたりもする。それでまた歩いていく。
「こんな感じだけど、大丈夫かな」
「はい」
ちゃんと聞いてなかったけど、ほかの人の見て書き写そう。そんな感じで、他にいくら稼いでいるのかとか、やりがいは何なのかとか、課題に出された質問を2、3個して、最後に質疑応答があった。
「何かほかに聞いときたいことはあるかな」
「いえ、大丈夫です。ありがとうございました」
早く終われ早く終われ。
「そっか、もしなにかあったら電話して聞いて、出来るだけ答えるようにするから。今浮かばないこともあるからね」
「はい」
「それじゃあ、お疲れさまでした」
「あ、お疲れさまでした」
ありがとうございましたか、お疲れさまでしたか、どちらで言えばいいのか困る。