気晴らし
自分の中にある思いを誰かに伝えたくて文字を打つ。
たった一人のボロアパートの一室で、ベランダからの光に背を向けてパソコンに向かっている。
おぼろげな自分の影がディスプレイに映っている。
誰かに届くわけもなく、届いたからどうとなるわけでもなく、だけども思いを形にしたくて。
このまま胸の内、重く、鈍く、澱んだ思いが四肢に染み渡ってゆくのが怖くて。
誰かに、誰かに届いていると、この世界にたしかにつながっていると、そう自分に言い聞かせたくて。
安らぎを、穏やかな日常を、生きていたいという願いを込めて、私は気晴らしに、文字を打ったのです。