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投げ銭に求められる社会基盤は既に整っている。

 今、web小説を投稿している作者さまの共通の悩みとして、いかにして読まれるかという悩みがあると思います。

 twitterを有効活用して宣伝している人、外部のランキングサイトを利用している人と、それぞれの作者さまが、さまざまな方法で、自作を宣伝していると思います。


 この悩みは、投げ銭になると、より一層深刻化するのではないかと思います。


 この「小説家になろう」というサイトも、読まれるための手段の一つです。このサイトはとにかく人が多い。正直に言うと最近、人が多すぎて新規さんには過酷なサイトになりつつあると感じていますが、それでもweb小説を読みたい人が集うサイトであることには間違いありません。

 このエッセイの最初に上げた「マグネット!(小説)」に登録している人も、活動報告で、自分の作品がそちらにもあると宣伝して、誘導している人もいるのでは無いでしょうか?


 投げ銭というのが、「読了後に支払う」形を取っている以上、読んで貰わないと話になりません。そうなると、集客力は極めて重要になってきます。


――投げ銭を一つのシステムとして考えると、小説投稿サイトに求められるのはむしろ、集客力です。投げ銭機能は、実のところ、それほど重要ではありません。


 作品と投げ銭は分離できます。読んだ後に、投げ銭システムへと誘導すれば良いだけです。


(但し、2018年5月28日現在、「小説家になろう」では、利用規約 第14条 12項において、「商業用の広告、宣伝又は勧誘を目的とするテキスト等の情報。」を投稿することは禁止されています。また、ガイドラインに「書籍の販売サイト等の購入用ページへの直接リンクの掲載」は禁止するとあります。投げ銭もこれらに該当すると思われますので、「小説家になろう」からの誘導はおやめ頂くよう、お願いします)


 さらに、投げ銭という考え方が十分に広がれば、投稿サイト抜きで投げ銭が構築できるようになる可能性も十分にあります。

 作品を自由に閲覧できる環境を整えて、読了後に課金システムに誘導する。投げ銭というのは、たったそれだけで実現できます。そして、それはURL一つで事が足ります。


 極端な話、電子書籍の最後に課金システムへのURLを張っておいて、そのファイルをクラウドに格納、ツイッターで宣伝するだけでも、最小限の投げ銭として機能します(但し、この場合は改竄防止の措置が必要です)。


 逆に、ネット上にはデータを置かず、紙の書籍から直接、投げ銭を募ることも可能です。


 例えば、巻末にQRコードを埋め込む。気に入った人はスマホからQRコードを使ってネットにアクセスする。出てきた画面で、例えば「この本の内容に98円支払ってもいいですか」と聞かれ、タップする。たったそれだけで、書籍から投げ銭をすることは出来ます。


 この場合、本の価格に印税を含めるのはどうなのでしょうね。二重取りになってしまうので、商売の倫理上、印税は無くした方が良いのかもしれません。

 そうすることで出版社は、僅かでも価格を下げることができます。たった一割? いえいえ、発行部数とか実売数とか、いろいろありますからね。作者の印税が悲惨な時は、出版社だって損失を背負ってると思います。その損失を背負うリスクが無くなるのだってメリットです。


 そして、そういった書籍は、図書館や古本屋から購入した読者が投げ銭をしてくれる、そんな可能性だってある訳です。


 投げ銭というのは、作品の価値に見合った価格を作者に支払うシステムです。だから、作家が受け取るのは作品に付けられた価値の分だけでいい。

 紙の書籍には魅力があります。ですが、それを作品とみなすのは無理がある。それは、Kindleや電子書籍リーダーを作品の一部とみなすようなものだと感じます。それは、作者が創った物ではありません。それは、出版社が創り出した魅力です。

 そうして魅力の出た書籍を、書店や図書館といった場所に陳列する。これらの場所は、作品と読者とをつなぐ、いわば「小説サロン」のような場所です。こういった場所があって、始めて作品を世に送り出すことができるのだと思います。


 投げ銭というのは、小説投稿サイトで囲いこまないと実現できないものではないし、決してインターネットだけの特権でもない。必要なインフラさえあれば、現実世界でも実現できます。


 作者は作品の価値に応じて収入を得る。

 出版社は書籍の価値に応じて収入を得る。

 書店はその集客力に見合った収入を得る。


 これは、それぞれの役割に見合った、非常にシンプルな形ではないでしょうか。少なくとも、ネット上では無料、書籍では書店の売り上げの一部、古本屋の売上は収入につながらない等のしがらみはありません。


 これはこれで、一つの在り方ではないかと、そう感じます。


 今は、ここまでのことは出来ないと思います。

 ですが、例えば試験的に、書籍で重版まで行かずにそのまま絶版になるような作品を、印税無しにして、無料で公開してみる。

 もしかすると、そうすることで投げ銭が得られるかも知れないし、それで書籍が売れるかもしれない。そのまま絶版になるよりは、作者にとっても出版社にとっても良いのではないでしょうか?


 そういった取り組みを行っていくことで、少しずつ、投げ銭というのを現実社会に取り入れていく。それを実現するための技術は全て揃っています。


 あとは、そんな社会になればいいだけです。


 今はまだ、投げ銭はインターネットの中だけの話なのでしょう。中身を読んでから任意にお金を払うなんてことをインターネットの外に広げるには、もっと認知されなければいけない。無理解や悪意にも晒されることになるでしょう。

 議論も足りない。著作権法、再販制度、そういったこの業界特有のものと、共存していかなくてはいけない。法整備も必要でしょう。それは国会とか、そういう場所で行うべき議論だと思います。


 私の夢見る「そんな社会」は、遥か時の彼方です。


 だからこれは、魅力的でありながらも消えた本を残念だと思っている、そして、この先消えてしまう本が少しでも無くなれば良いなと願う、そんな私の見ている夢の話です。

本文中でも記載しましたが、2018年5月28日現在、「小説家になろう」では、利用規約 第14条 12項において、「商業用の広告、宣伝又は勧誘を目的とするテキスト等の情報。」を投稿することは禁止されています。また、ガイドラインに「書籍の販売サイト等の購入用ページへの直接リンクの掲載」は禁止するとあります。投げ銭もこれらに該当すると思われますので、「小説家になろう」からの誘導はおやめ頂くよう、お願いします。

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