第一幕 愛され聖戦
「これから君達には神に愛されて貰います・・・」
その日__愛され聖戦が幕を開けた・・・
「イリニ・トラゴディア!!前へ」
名前を呼ばれ前に出る。
私の名はイリニ・トラゴディア、アイルツォセス王国の騎士をしている者。
アイルツォセス王国は他国との共存を目標に国を広げている。
他国からは平和ボケしてる等と言われているが戦争が好きな他国よりも私はこの国が好きだ。
「はい・・・国王」
「一番正義感が強く誰よりも平和を願う貴様に愛され聖戦の参加を命ずる」
突如決められた愛され聖戦という戦い・・・この戦いでは各国からそれぞれ2人の騎士や魔法使いを出し戦わせるのだが勝利条件が変わっているものだった。
それは___『神に愛される』___これがこの戦いでの勝利条件・・・
つまり神に愛されれば戦はなくても勝てるのでは無いかと思ったのだ。
それを国王は理解し私を指名したのかもしれない・・・
「白の騎士団団長として愛され聖戦へ参加出来ることをとても光栄に思います」
アイルツォセス王国の騎士は色で役割が別れており白の騎士団は街の平和や他国との交渉等の時に活躍する・・・しかし他国の裏切り際我々白の騎士団は敵地の真ん中で戦闘が始まる場合もありとても危険な騎士団でもある。
それと万が一の時の戦争の時に活躍するのが赤の騎士団・・・こちらは戦闘に特化した者のみが配属されておりいつでも戦闘準備は出来ている状態である。
「イリニ・トラゴディア・・・戦わずして勝つ・・・これを目標に頑張ってくれ」
「はっ!!」
「もう一人の参加者は貴様が決めると良い」
「分かりました」
___愛され聖戦は明日から始まるみたいだった。
白の騎士団の皆と集まり話し合いを始めた。
「___それで私と共に愛され聖戦へ参加してくれる者はいるか・・・」
「・・・」
みな黙りだった。
「すみません・・・イリニ団長」
「何ですか?」
「今まで白の騎士団が他国との交渉で成功が少なかった・・・その結果を見るととても戦わずして勝つ・・・それは無理だと思われるのですが・・・」
確かにそうだった・・・
神に愛される・・・これだけなら勝てたかもしれないだがしかし勝利条件にはもう一つ・・・最後の一組になった時点で勝利・・・曖昧な神に愛されるという勝利条件よりも遥かに明確で国よっては達成のしやすい勝利条件だろう・・・
だがしかし・・・
「しかしこの戦いで死ぬことはありません・・・」
「いや・・・だって最後の一組になったら勝ちと・・・」
「はい・・・それはそうなのですが・・・神が言うには愛され聖戦終了後死んだ者は愛され聖戦に関係した記憶が全て消えて生き返ると言っていた見たいです」愛され聖戦終了後は勝利した者以外は愛され聖戦関係への記憶を失う・・・つまり各国の国王は必ず愛され聖戦のことは忘れてしまうのだ・・・
それではこの戦いになんの意味があるのか・・・それは・・・
「記憶が消える戦いに何の意味があるのですか?」
「・・・愛され聖戦での勝利者は願いを神に叶えてもらえる・・・らしいです・・・」
みなはざわめき始めた。
願いが叶う・・・それだけで人の気持ちは揺らぐ・・・それに実際には死なないし記憶にも残らないのだから気楽な気持ちで参加しよう・・・そういう気持ちでは参加して欲しくはないのである・・・
だから私は相応しい人を探すために今こうして話し合いをしている。
「団長・・・私はどうですか?」
「クラウソラス・ポースフォスですか・・・」
クラウソラス・ポースフォス・・・彼は騎士団の副団長を務めている。
彼は正義感も強く私と共に平和を求めていた。
「・・・クラウソラス副団長・・・それではあなたと共に愛され聖戦へと参加をしましょう・・・」
他国からどんな人が来るのかは分からないけど私達がするのはただ一つ交渉をして神に愛されるだけ・・・そして神に平和な世界を願う____