幻のヘルクレス
我々は君達に報復する、何故報復するのか?突飛過ぎる?奇しくも同じ星に生まれた存在だ、答えてあげよう。何故報復するのか、それは簡単だよ、君達を憎んでいるからだ。我々は君達に踏まれ弄ばれ命を奪われてきた。ただそれだけだよ、でもそれだけの事を我々は許さない。
そもそもこの世は弱肉強食の世界だ、ならば我々が強者となり君達は弱者となる。
さて近々そちらへ向かうとするよ、楽しみにしていてくれ君達は悲鳴と嘆き、後悔で存分に狂ってくれるだろう。
後ほど会おう、人類よ。
【世界は我々に侵されるのだ】
20xx年 8月
ブラジル 森中
「本当に居るのか…」
早8時間、俺達はずっとある虫を探してジャングルで汗だくになっていた。
ヘルクレスオオカブト、通常種では無く銀色の羽と角を持った噂でしか存在しない正しく幻想そのもの。
「なあなあ売ったら幾らになると思うよ?」
「マニアにでも売り込めば一生遊べる程の金は得られるんじゃないか?何にせよ他の奴等に奪われないようにしないとな。」
先程から全然見つかる気配が無いというのに儲け話しで盛り上がっている、というかマニアに売った所で一生分は手に入らないだろうと心の内でツッコんでおこう。
「お前らな・・朝っぱらから歩き詰めで良く元気だよな。やっぱ噂でしか無いんじゃないか?調査員が数ヶ月探しまくっても見つからなかったんだろ?トウシロの俺らが見つけられるわけねえって・・」
「おいおいケディック冷めてんなー?こういうのは気合と忍耐なんだよ。」
「そうそう、大金手に入れるのにこのくらいの苦労はしないとな!」
「はぁ・・少し休憩しようぜ?足が疲れた」
「そうだな、一旦休憩しておこうか。」
「んじゃあ俺は向こうで立ちションしてくるわ」
「虫に刺されんなよ~」
「茶化すなって、んじゃ行ってくるわ。」
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「ふぅ・・ただいまっと、ん?どうしたお前ら?」
「ケディック来てみろよ!!居たぞ銀色だ!!」
「は!?マジで居たのか!?」
「捕まえたか?」
「ああ、大丈夫だ蓋もしたしテープも巻いたぞ」
「こりゃあ俺達の時代来たんじゃね?幻のヘルクレスを捕まえた第一人者とかで有名になるかもしれないぞ!」
「よし、こんなジャングルとっとと出るぞ!虫が引っ付いたりして気持ち悪いったらありゃしねえ。」
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「ふぅ・・なんとか抜けれたな、それじゃケディック。車持ってくるからヘルクレスのカゴ見守っててくれよ!」
「それじゃあその間俺はトイレに、さっきの開けた所でしてくりゃ良かったな・・」
「・・・・・ま、後でどうにか誤魔化せばいいか。」
俺はヘルクレスの入ったカゴを持ってジャングルの方に戻る、流石にこいつを見つけた場所までは戻れないから適当に良さそうな場所でヘルクレスをカゴから出し逃がす。
「拝めただけでも有り難いもんだよな。」
昔からヘルクレスは憧れの存在だ、あの勇ましきフォルムは子供の頃からずっと輝いて見えていた。
だからといって飼育願望を持っている訳では無い、寧ろ彼等は自由であるべきだ。
人間がカゴの中に入れて彼等を閉じ込める、俺はそれをしたくなかった、彼等の自由を奪いたくは無かったのだ。
「なあ?あんたってこの森の王者とかか?・・・・いや、答える事なんて出来ないよな。なに語りかけてんだろ俺・・」
銀色のヘルクレスは木を登って行き、やがて姿が見えなくなった。
「元気でな、今度は誰にも捕まえられるんじゃねえぞ?」
「さて、こっからどうしようか。あいつらになんて言おう・・」
今後の事を考える、このまま戻っても言い訳を思いついていないから戻る事が出来ない。
「とりあえずあいつらの居ない方向からジャングルを抜けるか、それまでに言い訳を考えなきゃな。」
ジャングルの中で思考を巡らせながら歩く俺には予想もできなかった、これから起こる悪夢の様な事態に、復讐者の襲来に。
初めまして、サナと申します。
ハーメルンで小説初めて半年ほど経って未だ拙い文章力で読みにくいかと思われますがご容赦を・・
今作品はオリジナル作品です、投稿頻度は不定期ですが1ヶ月に1話は出せるようにしていきますのでよろしくお願い致します。