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救いが欲しいですか?  作者: ヒロ
1/1

宴の始まり

人生初の創作!

ちょっとでも読んでいただけたら歓喜!

ほんの少しでも感想をいただけたら狂喜乱舞!

-------柔らかな光に包まれて、眠たいような、笑いたいような、泣きたいような


-------そんな時間を、夢見ていた。



-------君も、そうだろう?




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『おつかれ!今日はもう落ちる~』

『おつー、おやすみ』


「ふう・・」


チャットウィンドウに入力を終え、ため息をつく。

今日はもうみんな「落ちて」しまった。

モニターの端に映る時刻は、既に0時を過ぎている。


「みんなも社会人だもんなぁ。平日は無理できない、か。」


そんなことを一人考えながら、コントローラーをせわしなく動かす。

今月中にはなんとしても2000万、稼がなければならないのだ。


「大体さ、人生で一番楽しいことに全力を出せないなら仕事なんてやめちまえばいいんだよ」

「人生を楽しみたいんだから。奴隷になりたいわけじゃないんだから。」


誰に言うでもなく、愚痴をこぼす。


「あー・・今日はいいとこ20万ってとこか・・」


気が付けば1時を過ぎている表示をちらりと見て、更にため息をつく。


「・・・はぁ。なんか楽しくねえなぁ。・・・寝よ。」





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2016年5月10日


児玉弘貴。23歳。今年の4月に入社したばかりのピンピン新卒マン。

実家暮らし。彼女はいない。ついでに友達も少ない。親とも仲は良くない。

「君なんで生きているの?」

そんな言葉をかけられたら一瞬で死にたくなるような、憂鬱な日々を送っている。


「あぁぁぁ・・あと5時間も仕事しなくちゃいけないのか・・」


昨晩は平日にもかかわらず、遅くまで「お金稼ぎ」を頑張ってしまったため、尋常ではない眠気に襲われている。


「でもまぁ、あと少しか。・・がんばるか。」


弘貴の現在唯一と言っていい生き甲斐、それは「ルミエールオンライン」というオンラインゲームだった。

美しいグラフィック、時には熱く、時には涙があふれるストーリー、超高難易度が故に達成感を得られると評判のバトルシステム。

そのどれもが弘貴の好みドストライクとあって、ここ数か月はどっぷりハマっている。

オンラインゲーム特有の定期アップデート。これにより常に新鮮味を感じるゲーム内容、そして何よりも、ゲーム内で知り合い、意気投合したフレンドとの交流が弘貴のモチベーションだ。


「えーと・・あと、2週間とちょっとか。うわ、やべ、ワクワクしてきた。」


そのルミエールオンラインの大規模アップデートが来月、6月2日に迫っている。

浮足立ってしまうのも無理ないというものだ。


「児玉くん」

「あ、はい!」

「明日までって頼んでた決算書、今どんな感じ?」

「あー・・まだちょっとしか触ってないんですけど、多分、明日中にはできる、と、思います・・」

「うん。頼むね。」


急速に現実に引き戻されてしまった弘貴は気持ちを切り替えるべく、モニターに向かう。

自宅の物とは違い、無機質な数字が映るのみだが、今は立ち向かわねばならない。


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そして、きたる6月2日


「だあああああっ!あと5時間だ!5時間後には世界が広がる!」


「ああああ!あと3時間だ!」


「あと1時間・・マジかよ・・」


何か月ぶり、下手したら何年ぶりというレベルのテンションで仕事をこなして(正確にはこなしたフリをして)帰路を急ぐ。


「有給良し。栄養ドリンク良し。食料良し。」

「金も稼いだ!2000万もあればスタートダッシュ余裕!」

「ばーちゃん!今日は風呂とか呼ばなくていいから!うん!人生で一番大事な用事だから!」


普段なら口にしないような無駄口を叩きながら、「その時」を待つ。

そして、大規模アップデートの為のメンテナンスが終わり、サーバーがオープンする。


「きったっ・・!」


押し殺した歓喜の声を呟き、瞳は新たに広がる世界へと吸い寄せられる。


宴が、始まる。






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