第2話
前話の後半に加筆修正しました。
すみません、まだ長文書くのになれなくて...
「まあそんなに驚きなさんな。ちょいとからかっただけさ。」
目の前の、少女(?)はそう呟く。
「あんた、見たことない顔だね。それに、この時期のこんな時間にこの店に入ってくるってんなら、フル―リアんとこの新入生かい?」
渡は、いまだ訝しみながらも、気を取り直して返答する。
「え、ええ、まあ。でも、何故?」
色々と尋ねたいところだったが、まずは一つ。どうして、自分が新入生だと分かったのか。
「そりゃあ、まず第一に、私が顔を見たことがないんだから、フル―リアの生徒ではないだろう?それから、この時間この辺へ来るのは、よっぽどの暇人か、近くに住んでる奴らしかいない。...まあ、あんたがその暇人なら話は別だがね。と、それで、だ。この時期ってのを考えると、この辺に引っ越してきた...つまり、入学準備中の新入生だと思ったわけさ。」
「な、なるほど」
一息に言い切られ、言葉につまる渡。
「えっと、じゃあ、あの、何分この辺りは初めてなので、色々とお聞きしてもいいですか?」
言い淀みながらも、なんとか情報を得ようと尋ねる。
それを見た少女は、肩をすくめる。
「まあいいさね。ちょうど退屈してたところだ、何でも聞くといい。」
「じゃあまず一つ。あなたは僕の顔を見て、フル―リアの生徒じゃないと言い切った。これはどうしてでしょう。」
「そりゃ簡単さ、私がフル―リア大学の教授だからだよ。」
「きょ、教授!?」
「ああそうさ。魔方陣科学を教えている。魔方陣ってのはほぼ全ての学科で必修だからね、みーんな私の教え子ってわけさ。」
「そういうわけでしたか。...じゃあ、この店に置いてある物は、どういうものなんですか。」
内心で驚きながら、この少女の年齢はいくつなんだろうか、などという考えを押しこめ、質問を続ける。
「何ってあんた、魔道具を知らないのかい。随分と変わった奴もいたもんだ。そうさね、魔道具ってのは、何か...何でもいいが、例えば、ランプなんかに、私の専門である魔方陣を組み込む。その魔方陣は、あらかじめ、道具の使用者の魔力を使って火を灯す、といった命令を刻み込んである。そうすれば、そのランプは、着火剤や種火が無くとも点火できるランプになる。こういうのを魔道具っていうわけだ。」
その説明に、教育者であることを納得させられ、また、その神秘に胸が高鳴る。
「へえ、なんか、凄そうだ。何か、すぐに使えるいいものありませんかね。」
「あるにはあるが、うちのは全部一品ものだ。それなりに値段が張るよ。あんた、金はあるのかい。」
そういわれ、渡は自分が無一文であるということを思い出し、あわてて否定する。
「では、そうですね、あまり長居しても邪魔でしょうし、僕はこれで失礼します。」
「おや、そうかい。もっとゆっくりしてもらっても良かったんだがね。」
こうして、礼を述べ、店を後にする。
それからしばらく経ったのち、ついに待ちに待った入学式の日がやってくる。