デート!?
いつも読んでいただきありがとうございます。
ちょっとペースがゆっくりな為、少しスペードを上げていきたいと思います。
土曜日。バイトの休憩時間。
とても天気がいいので私は、近くの公園でお昼を食べることにした。
新緑の季節でもあり今は、木々が青々と茂ってとても美しい。今日は、人もまばらだ。
「きもちいい。」
(うん。公園に来て正解。)
美波はハンバーガーを頬張りながらそう考えていた。
すると、見覚えのある人がこちらに向かって歩いてくるではないか。
(あ……。)
「小野さん。」
向こうもこちらに気がついた様子。携帯で電話していたようだ。
「えっと立花さんだっけ?」
どうやら名前をまだちゃんと覚えてもらえてなかったらしい。自己紹介もちゃんとした仲でもない訳だし、まあ、そんなもんだろう。
「はい。立花美波です。」
彼、小野さんは私がバイトで初めてフロアに立った時、転びそうになった私を助けてくれた人である。あの時は、なんて素敵な大人の人なんだろうと感動した。それ以来、たまに声をかけあう仲だ。小野さんは、平日夕方5時頃から6時まで、大抵『カフェ・バーグ』で軽食をとり、再び仕事へと戻って行く、いわゆる常連さんである。
「今日もバイトかい?頑張るね。」
そう言って、小野さんは隣に座った。
ちょっと緊張するんですけど……。
「小野さんこそ。」
「……そうだね。」
なんだろう?いつもより元気がない様子だ。
「どうかされました?」
「……今、電話で、フラれたんた。仕事ばかりで会ってくれないってね。」
「!?」
驚いた。小野さんのような人でもフラれるの!?
「まあ。わかっていたけどね。」
どうしよう~。なんて慰めればいいの~!!
「…………。」
「…………。」
――しばし沈黙が流れる。
すると
「プッ。」
突然、小野さんが吹きだした。な、なに?
「はははは。ごめんごめん。」
「?」
「ごめん。気にしないでくれ。そんなに落ち込んでないから。」
ああ。よかった。いつもの小野さんだ。
「……そうだ。よかったらこれあげるよ。」
「え?」
なんと、それはディズニーーランドの明日限定のパスポートではないか。
「そ、そんな高い物いただけません。」
「遠慮しないで。彼氏とでも行っておいで。」
「彼氏なんていません!」
「……そうか。じゃ、友達と行っておいで。」
「そう言う問題じゃないんで。とにかく、そんな高価な物いただけません。」
「よし、わかった。じゃ明日、俺と一緒に行こう。」
「はい?」
「決まり。駅前で8時に約束しよう。」
そう言うと小野さんは、チケットを私に渡すと時間だと言って、行ってしまった。
――ボー然。
な、なに~!?
本気ですか!?
自分で言うのも何だが、反応が遅い。まったく……。
「これって、デートってこと?」
いやいや。考えても見てくれ、小野さんがフラれた時、側にいたのがたまたま私だっただけで、偶然の出来事だ。
「はあ~。」
私は、ため息をついた。
でも、よくよく考えてみればどうしてディズニーのチケットを2枚持っていたんだろう?
彼女と行くつもりだった?
そうだよね。本当はこれ持っているの辛かったんじゃ……。
それなのに、私に気を使って、笑って……。
「大人の人だな……。」
ボソッと呟く。
私は申し訳ない気持ちになっていた。
「明日は楽しもう。そうすれば、小野さんも少しは気がまぎれるはず。うん、よし!」
美波はチケットをポケットにしまうと、バイトに戻って行った。
明日は、美波にとって人生初イベント、デートである。
――――To be continued
読んでいただきありがとうございます!
次回、忘れキャラ登場予定です!