ドキドキ!?
ちょっと乙女的です。
「ねえ優。隼さんのどこが好きなの?」
昼休み、私は早速心配事を確認しようと優に問う。
「なあに、いきなり……」
「いいから教えて。」
「普段は結構おもしろくて、明るくて、人にはっきり何でも言える人で裏表がない所。仕事になると人が変わるくらい一生懸命な所かな……。もちろん、顔も好きなの!」
裏表がない?仕事になると人が変わる?
「もしかして優って、隼さんが伊達メガネで二重人格って知ってるの?」
「二重人格!?……言い過ぎじゃない?確かに人が変わるけど……。」
「知ってるんだ!」
「うん。前からそうだよ。」
なんとまあ……。私の心配はいったい……。
「メガネの時の隼さんと外した時の隼さんで、どっちが好きなの!?」
「どっちもよ。」
おいおい……。
しかし、私はにっこり笑って言う優が少しまぶしく見えた。
* * * *
――バイトに大分慣れてきたある日。
「おはようございます。」
私はいつものようにお店に出勤した。
ずると、後ろでドアが閉まる音。
メガネの隼さんだった。
「……なんだ、美波ちゃんかー。」
「?」
「どこぞの美少女がスタッフルームに入るのかと思えば。……後ろ美人だねえ。」
ムカッ!
気にしてることを!
「すみませんね!ご期待にそえなくて!」
「あっごめんごめん。美波ちゃんも十分かわいいよ。」
そう言い隼さんは、私の頭をなでなでした。
「わざとですか?むかつく~!」
「かわいい子には飴をあげよう。」
新商品のさわやかフルーツのど飴だった。確かCMでやってたやつ?
「こんなので機嫌は直りませんよ。」
「やっぱり?」
すると今度は耳元で
「かわいいよ。」
と、低い、今までに聞いたことのない声で囁かれた。
「!!」
美波は耳元を押さえた。ゆで耳だ!
隼はそんな美波の様子をほほ笑みながら見つめ、また美波の頭をなでなでするのだった。
なんなのーいったい!ホスト隼到来!?
そんなの私じゃない他の人でやってよー!!
もう!と思いながら美波は、着替えてお店のフロアへ出る。
「天野く~ん。」
「いらっしゃいませ。お客様。」――――ホスト隼発動。
またやってるよ、この人は……。
隼を見て、そう思うのであった。
(乙女はちょっとしたことでもドキドキするんだからやめてよね。)
――――To be continued
読んでいただきありがとうございます。
皆様が少しでも楽しんで頂けたら幸いです。
今後ともよろしくお願いします。