お兄ちゃん!?
乙女ゲーム推奨!のような内容になっちゃいました。
「ねえ美波ちゃん。明応の王子様とつきあってるって本当?」
――来た!!
朝からこの質問攻めにあわてふためく有様。
「違うってばー。」
どうやら昨日の朝と放課後のマックでの様子を目撃されてしまったようだ。
勘弁してちょうだい。私だって訳わかんないのよ。
「あーあ。もったいない。付き合っちゃえばいいじゃない。」
「もう。他人事だと思って。」
そんな事言うのは親友の優だ。
「だって、考えても見てよ。あんな美形に言い寄られて、ときめかないのは変よ!それに美波の大好きな乙女ゲーム的なことが味わえるかもよ?」
…………。
「でも、なんで私なの?全然話したことないのに……あのイケ男がよ。からかわれてるんじゃないのって思うのが普通じゃない?」
「うーん。そればっかりはなぁ……少なくても彼、悪い噂は聞かないけど。」
「あんたたち、ちょっといい?乙女ゲーム的なことって何?」
話につっこんできたのは、同級生の高田 京子だ。しっかり者のクラス委員長。
「そっそこですか?……うーんなんて言うかな、女の子がドキドキするようなこと?かなぁ?」
「乙女ゲーム貸してあげるよ。はい。」
そう言って美波は、自分のカバンからPSPゲームを取り出し京子に渡した。
「持ち歩いてるの!?……オタク~。」
「何とでも言ってちょうだい。絶対ハマるから。」
「ふーん。しばらく借りるわ。」
そう言い、京子は先に帰って行った。
――明日には、京子ちゃんも仲間ね。と、心の中で呟く美波であった。
* * * *
帰り道。優と二人で歩いていると1台の車が、自分たちの横にピタリと止まった。
「あ、お兄ちゃん。」
どうやら優の兄 清志郎 の車のようだ。白いレガシィの車窓が開く。
「今帰りか。送ってくぞ。美波ちゃんも。」
「やったー!」
優のお兄さんは、隣の県の大学に通う3年生。1人暮らしで、時々家に帰ってくる。ちょうどばったり会ったわけだ。私と優は家が近い。同じ路線の電車だ。そのせいもあり私と優は仲良くなった。
――車中。
案の定。優は昨日、今日の出来事を事細かく清志郎に教えていた。
「そっか。美波ちゃんに言い寄るイケ男か……。」
「だから変な風に言うのは、やめてください。」
清志郎は、男に免疫のない美波にとって唯一まともに話せる存在だ。
「付き合う気ないんだろ?」
「えっ?」
バックミラー越しに見つめられる。
「……美波ちゃんは、まず男に慣れることが必要だな。」
「そうよ。」
優まで……。やっぱり?
「どうしたらいいの?」
「お兄ちゃんは大丈夫なんだから、お兄ちゃんの友達と友達になるのはどお?」
「なるほど。」
「大人はダメだ。」
「どうしてよー!」
「大人は大人の付き合いを要求してくる。危ないからダメ。」
「「…………。」」 ――――二人で沈黙した。
「……とりあえずアルバイトとかがいいんじゃないか?社会勉強にもなるし。」
「そうね。そうよ。」
優も私も同時に納得する。
「私、バイト探す!」
「私も!!」
なぜか優も一緒に叫んでいた。
そしてその様子を不安げに見つめる清志郎がいた――。
――――To be continued
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