王子!?
なんだか少しギャク路線に入っている気がします。
――放課後。
美波は重い足取りで、イケ男と待ち合わせのマックへと足を運んでいた。
(やっぱり行くのやめようかな。)
美波は、あと1M先が目的場所というところで足を止めた。
フイに後ろで気配を感じる。
「今日は、逃がさないって言ったよね。」
「!!」
またしてもイケ男の手に捕まってしまった!
何度も言うようだけど、私は男に免疫がない。もちろん17年間彼氏なしだ。それなのに、なぜこのような状況に陥っているのだろう?
マックの店の側面壁(店の中からは見えない)で、イケ男は私を逃がすまいと片手で壁に手を掛け、もう片方の手で私の手を握っている。傍から見たらそれはそれはラブラブバカップル!?と誤解をされてもおかしくない状況だ。これはまさしく乙女ゲーム実写版!?なのかと疑わずにはいられなかった。
美波は真っ赤になり、既に思考回路爆発寸前だった。
「ねえ。逃げないで俺の話を聞いてくれる?」
「わかったから。手離して。」
「OK。じゃあ、まず自己紹介。俺は 王司 雅臣 明応学園2年17歳。テニス部――」
「ちょっちょっとまって。王子!?今、王子って言った?」
「……王司雅臣だ。」
「プッ。……ププププププッ。」
「…………。」
「ごめん…な…さい。プププッ。……だってあまりにぴったりな名前なんだもの。……王子様。」
「……言われると思った。」
確かに雅臣の見た目にピッタリな名前だった。
おかげで思考回路爆発?寸前だった美波の頭も、一気に冷めておちついた。
「17年間、自己紹介が少し憂鬱だったけど、君が笑ってくれるなら悪くないな。」
「えっ?」
そう言うと雅臣は、美波に優しく微笑んだ。
――トクン。
や、やだ。また……、何よ。
一度おちついた鼓動が、また高鳴り始める。
その顔でそんな風に微笑むなんて反則よ。
「ど…どうして?」
「……君が、好きなんだ。」
「!!」
い、いま、何て言ッたこの人!?
――好き?……私を……?なんで?
「ちょっと待って!私の事を好き?おかしいわ!私と昨日初めて話したのよ。何も私の事知らないのに好きだなんて!」
「知ってるよ。」
「え?」
「たまに駅ですれ違った。最初は聖蓮女学院のお嬢なんだなって思うくらいだったが、いつもすました顔して綺麗な髪をなびかせて歩いていた美波ちゃんが、昨日の友達といるところ初めて見かけた時、あまりに豪快に笑っている姿を見て、すごいギャップを感じて、声をかけたくなったのが事実。今思えば、最初から好きになっていたと思う。」
……本気か!?
「……あなたなら、私よりいくらでも美人の彼女ができるでしょ。」
「俺、美人て興味ないんだ。」
「!!」
なんだそれは!わかってはいるが、あまりに失礼だろう!
「それはそれはごめんなさいね。それじゃあ。私みたいな美人じゃない子を他に探してちょうだい。失礼。」
プイとそっぽを向いて私は、雅臣の足を踏みつけ駆け出した。
「痛っ……違う!!美人じゃなくてかわいい子がタイプと……。」
美波が去ってから言っても、もう遅い雅臣の独り言だった。
しかし雅臣のにとって美波のような男に免疫がない女の子は新鮮で、しかも簡単には手に入らない。
ますます美波が欲しいと思う雅臣であった。
――――To be continued
読んでいただきありがとうございます。
これから他キャラクターも入ってきますので
乙女路線傾向でよろしくお願いします!