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最上位の推し  作者: 琴音
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ついに来た~!



 その日は佳奈美さんの話題で盛り上がりながら、二人でハンバーグを作り遅めの夕食を済ませた。レイが珍しく後片づけを引き受けてくれた。洗剤をたっぷり付けないとベタベタが取れないぞ、と思いながらも黙って任せた。余計なことを言って折角の好意を無にしたくない。

 

「ねぇ、先にお風呂入りなよ、サッカー見るんでしょ」

 リーグアンの試合を見る予定でいた。日本代表の中村〇斗のファンなので出来る限り試合をチェックしている。ちょっとレイと雰囲気が似ている。


「じゃあ、先に入るね、手伝えなくてごめん」

「うん、いいよ、やっておくから」


 体を洗い、シャワーを浴びていると、ガラス越しの脱衣所に人影が見えた。歯磨きに来たのかと思い、気にしないでシャワーを浴びていた。

「入るよ」

「へっ?」

 いきなり全裸のレイが入ってきた。

 この現実が果たして現実なのかも呑み込めず、ただ立ち尽くす。

「なに?なに、なに・・・」

「・・・背中流そうか・・・」

 いやいや、この時空間、ふわふわして地に足がついてません。

 思考回路もバグって、うまく伝達できていません。一回、思いっきり頬を張り倒してください。目が覚めるように、、、

「心の準備どころか身体の準備も出来てません、ベットで待っててもらっていいですか」

 私は何を口走っているんだろう。

 彼は純粋に背中を流しに来ただけなのに、、、

「ダメなの?」

「こんな明るいとこで、恥ずかしいよ」

 ますます、蟻地獄だ。ヤルこと前提に言ってるよ。

「じゃあ、部屋で待ってる」

 もしかして私が誘導しちゃいましたか?

 でもそちらも明かに反則ですよね、なんの前触れもなしに、こんなこと・・・

 

 いつものベットなのによそいき感が半端ない。ここはどこ?私は誰?

 「ちゃんと出来なかったら、ごめん、いい?」

 事前に用意していたゴムをつけながら了承を得る。

 彼の方の準備はとっくに整っていた。

 なんだ、何にも問題がないじゃん。できる、できるよ、きっと。

「お願いします」

 なにかの神聖な儀式のように、それは始まった。

 唇から首筋、肩甲骨と唇を這わせ、胸のあたりまで来るころには私の準備も整った。後は彼の方の問題である。ふと耳を見ると耳栓をしている。すごく気になったけど、ここで聞くのは憚れる。黄色のそればかりに意識がいって、大切な儀式に集中できなかった。が、、、ことはツツガなく成功裏を収めた。できたという実感は彼が外したゴムで分かった。あんなに待ったのに、あっという間に終わってしまった。というより、どれだけの時間がかかったのかが把握できていなかった。

 どんな言葉がレイを傷つけるかもわからないので、彼の言葉を待った。


「しおりが好きだ」

 初めて聞いた。

「しおりじゃなくちゃダメなんだと思う」

 映画のシナリオみたいなセリフで棒読みだけど嬉しい。

 なるほど、本音を言う時は演技力が発揮できないんだね。 


「わたしもレイじゃなければダメだよ」

「待たしちゃってごめん、それに気になったよね、これ」

 外した耳栓を手に、ちょっと苦笑い。

「何が原因かを探ったら音だった。行為中の音がダメなんだとわかった。相談したカウンセリングの先生が耳栓を提案してくれたんだ」

 カウンセリングに通っていたのは初耳だった。ちゃんと考えてくれていたことが何よりも嬉しい。

「佳奈美さんが言ってた、今度はレイの番ってこのことだったの?」

「うん、僕たちの関係性がヘンによそよそしくて気になっていたらしい。問い詰められて白状しちゃった。そしたら精神科の先生を紹介してくれて。敷居が高かったけど、何とかしたいと思っていたしね。行って良かったよ」

「なんとかしたいって思ってくれただけで嬉しい。大好きだよ」

 彼に抱きつこうとしたら、グレースが間に飛び込んできた。レイが捕まえて胸に抱いたら、慌てて振りほどこうと藻掻モガいた。


「いてて、爪が刺さった、やべぇ」

 鋭い爪を立てられ、裸の胸に引っ掻き傷が出来ている。

 脱ぎ捨ててあったパーカーを羽織り、薬箱を取りに行く。猫の爪は室内飼いの猫でも黴菌があるので油断できない。


「うげぇ~沁みる~」消毒液を塗ると大袈裟に身を捩り叫んでいる。

 グレースは自分が遣ったという自覚もなしに、タワーのてっぺんからその様子を窺っている。

「ヤキモチ焼いたのかなぁ~」

「そうかも」

 なんか、くすぐったい時間が流れる。初めてイタしたのに余韻もなくドタバタして、普段通りの顔に戻っていく。ヘンなの、、、でもこれが普通。

 お風呂上りに水分を補給していなかったので喉が渇き、コーヒーを淹れにキッチンへ行く。


「いま追っかけ再生みたら〇斗君、先制点取ったよ。彼イケメンだよね」

「レイには敵わないよ」

 はにかむ笑顔が無敵だよ。

 あなたは間違いなく私の最上位の推しです。

いままでも、これからも、ずっと・・・だよ。

だい、だい、大好き!!!

最後まで、ご購読ありがとうございました。

また、お逢いしましょう(^_-)-☆

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