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異世界建築士の弟子  作者: 十三岡繁
道中にて
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道中にて(その4)

「まぁ不死身だっていうんだから、最後の首は死なないんだろうけどおかしいよね。酸素が無ければ死なないまでも動けなくなるはずだ。体内物質をエネルギ―に変換できないんだから」そう言ってコウは左手も上にあげる。


 大量の空気がヒュドラの囲みに向かって集まっているのが、地面を流れる土埃の動きで分かる。次の瞬間ヒュドラを包む半球状の空気の囲みはふわりと宙に浮き上がった。半球だった囲いは、地面から離れると完全な球形になった。


 そうして浮いたかと思えば今度は物凄い勢いで上空に吹き飛ばされていく。いや、30mはあろうかという巨体の魔物を包んでいる空間だ。それがまるで紙風船が風で飛ばされるように、上空に舞い上がっていく。次にコウは地面の方を向いて両腕を差し出す。すると一瞬のうちに地面には大穴が開いた。


 温泉を掘り当てるときの様な細くて深い穴ではなく、円筒状の大きな穴だ。1000mもの深さはもちろんないが、数十mいや、100mぐらいあるかもしれない。しばらくするとはるか上空に舞い上がっていたヒュドラは、球形の囲いに包まれたまま物凄いスピードで落下し穴の中に落ちて行った。


 底まで落ちた瞬間、付近に轟音が響き渡るのを確認してまたコウが腕を水平に動かす。瞬く間に地面に空いた穴は縮んで行く。そうして最後には穴があったことが分からないくらいに、奇麗に整地されて平らな地面に戻っていた。


「別にギルドでクエスト受けたわけじゃないし、討伐を証明するものとかは残さなくて良かったよね」そう言ってコウは何事もなっかたかの様に道を歩き始めた。

「彼女が戦う所は初めて見ましたが、いっつもこんな感じなんですか?」コルビーがクニオに話しかける。


「よほど厄介な相手じゃない限り、コウは手を出したりしないよ。この一週間見てきたと思うけど、基本的には僕が戦わされる。やばそうだと時たまグレゴリーが加勢してくれるぐらいだよ、このパーティーは」


「ちょっと勇者パーティーにはいて欲しくない人物ですね…」コルビーは苦笑いをしている。

「グレゴリーも大概凄い冒険者だと思うんだけど、コウは規格外だよね。二人と同じパーティーなので、実力以上の経験値が入ってきてしまう。今も物凄い量が入って来ちゃってるな…」そんなこんなでクニオはレベルだけでいうならば、そこいらの冒険者よりも余程上になってしまっていた。二人の実力に見比べれば霞んでしまうが、アマリアの盾で防御力は十分だった。


 但しいざ攻撃するとなれば、相変わらず強力な魔法は使えないので刀を振り回すしかない。その戦いぶりを見たものは、レベルを聞けば逆の意味で驚くに違いない。しかしレベルが上がるにつれて、建築士というレアジョブの特有スキル、ゾーニングとプランニングはより洗練されたものになっていた。


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