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異世界建築士の弟子  作者: 十三岡繁
魔王山荘にて
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魔王山荘にて(その1)

 洞窟近くの温泉場…魔王山荘の方はビフロンスが加わったことで、いくつかの設計変更が可能になった。クニオの言った通り、この世界は死体で溢れている。火山活動で吹き出してくるマグマや溶岩は、流石に死体としての体は為していないが、岩石や金属以外の存在は、ほぼ全てが生物活動の結果出来上がっていると言ってもいい。有機物、つまりは炭素が含まれる素材はビフロンスのネクロマンシー(屍霊操術)を組み合わせる事で、様々な材料となった。


 分かりやすい所では塗料だ。鉱物を着色料として混ぜた天然樹脂系の塗料を合成する事で、クニオがその場に居なくても広範囲での塗装工事が可能になった。木材は樹種によっては雨など湿気にも強いが、塗料を使う事で更にその性能を上げることができた。更に色彩をデザイン要素として利用することが可能になった。


 そう言えばクニオの師匠…実はコルビーの遠い昔の前世だが…は『色は感情を呼び起こし、空間の錯覚を生み出す上で重要な役割を果たす』 というのが持論だった。もっと俗的なところでは、予算がない時は色でデザインしろと言っていた。魔王城は素材感を大切にした…というか素材そのものを見せる渋い建物であったが、魔王山荘は色彩豊かな空間となっていった。


 塗料の他にも有機物を使った樹脂系の材料は色々と応用が利いた。クザの方は空間は出来上がりつつあったが、給排水の配管類は単にセメントを固めただけではなく、表面に樹脂コーティングを施すことで、漏れをほぼ無くすことに成功した。



 完成した魔王山荘の湯船に浸かりながらコウはコルビーとクニオに聞く。

「なんでビフロンスのネクロマンシーがあると、塗料が作れるのさ?」

その質問にはコルビーが答えた。

「ネクロマンシーについては今まで深く考えたことが無かったんですが、師匠が言うには大きく二つの要素があるんじゃないかとの事です。まずアンデッドはそれ以上腐敗が進まない。腐敗というのは、死骸などの炭素化合物を微生物が吸収分解してエネルギーを得る事で進む。つまり腐らないという事は構成している物質が安定していて、それ以上分解されないという事です。これはこの温泉の水の影響を受けないことから、魔力や魔素で維持されているのではなく、組成そのものが変わった結果だと考えられます」


「何言ってんだか分からないよ。もっと平たく言ってくれよ」コウはふくれっ面だ。

「ゾンビがそれ以上腐らないのは、ネクロマンシーでいい感じにされたって事さ」クニオは笑いながら補足した。


「もう一つは生物の屍を操ることが出来るという点です。石や金属以外の材料は殆どが生物の死骸由来なので、自由に操れます。これを使えば欲しい成分だけを動かして集める事ができる」コルビーは相変わらず言い方が小難しい。これではクライアントの理解を得るのは難しいだろう。今後指導しないといけないなとクニオは思った。


「そんな小さな粒みたいなものは手も足も無いんだから自分じゃ動けないだろう?」コウは意外にも大筋を理解している様だ。

「スケルトンは筋肉も無いのに動いてるだろ?同じように自分で動いて集まってもらうのさ。でも魂が無いのに動かし続けると魔力が大量に必要だから、集まったところで解術するんだ」クニオが答えた。


「合成樹脂と違って、天然樹脂をベースとした塗料は耐久性で劣るんだけれども、そこは最初の話の組成の変化を使えばいい…うーん…まぁとにかく簡単に言えば長持ちする塗料が簡単に作れるって事だよ」クニオはそう続けてから自分も結構、小難しく話しているなと反省した。

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