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異世界建築士の弟子  作者: 十三岡繁
ハポンの酒場にて
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ハポンの酒場にて(その3)

 見物客が散った中、クニオは真っ二つになったテーブルをじっと見つめていた。幸い店の床は地面に直接置かれた石材らしく被害は無かったが、壊したテーブル代は弁償しろと店長らしき男が怒っている。


「コルは樹木に働きかける魔法は使える?」クニオはコルビーに話しかけた。

「得意ではないですが、一応使えます」

「じゃあイメージを共有させるね」そう言ってクニオはコルの後ろから両肩に手を置いた。コルは軽くうなずいた後、壊れたテーブルに向かって魔法を放つ…程なく木製テーブルは元の形に…いや元の形とはちょっと違うテーブルとなって復活した。


 クニオは先ほど怒り心頭で、今は驚いている店長に説明を始めた。

「テーブルの天板を厚くした分、下部の骨組みを無しにして脚だけにしました。これでテーブル下の空間が大きくなって、使い勝手は上がったと思います。天板の表情は元のまま残してあるので、経年変化の味わいは今まで通りです。他のテーブルとの統一感という観点からは、配置をそう…あの少し離れたところに置かれているテーブルと入れ替えるとバランスが取れると思います」


 そう、様々な物質や魔法を組み合わせて違うものを生み出すこのスキルが、レアジョブの建築士であるクニオが持つ『プランニング』だ。但し魔力が弱くて生活魔法ぐらいしか使えないクニオは、自分一人ではほとんど何もできない。あくまで他人の力を使って、どう使うのかを組み立てて誘導するだけだ。


「師匠。今のイメージは面白いですね。天板はただ均一に厚くしただけではなく、かかりそうな力に合わせて中の密度を変えてある」コルは興奮気味にクニオに話す。

「そうしないと重くなっちゃうからね。あと各部分の強さも大切だけどそれが組み合わさる接合部の強さも大切なんだよ。この場合は脚の付け根だね」クニオは説明する。


「また何かよく分からない話をしてるな。今日はあいつの奢りな上に、テーブル代も弁償しなくて済んだんだから大いに飲もうぜ」コウは上機嫌だった。子供扱いをされてやはり少し面白くなかったのだろう。

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