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異世界建築士の弟子  作者: 十三岡繁
キートの城にて
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キートの城にて(その1)

 結局一行が領主の居城に着いたのは、盗賊の故郷だという宿場町で一泊して翌日の昼もだいぶ過ぎた頃だった。出発が遅れたのは前日の就寝が遅かったからだ。温泉を掘り当てるのに時間を要したわけでは無い。当然そのあとの宴会の影響だ。ギューズとマーズは町の中心部に入る関所で番兵に自首してもらった。


 領主の居城に到着するとユキヒラは、門番をしている衛兵になにやら交渉をしてくれていた。居城というからクニオは日本のお城の様な建物を想像していたが、予想は見事に外れた。本丸の様な高い建物は見当たらない。お城というよりは御所と言った趣だ。そういえばハポンに来てから高い建物は見た覚えがない。茅ぶき屋根のサダヒデの工房は構造上高さこそあったものの、造りとしては二階建てだった。キートも領主の居城付近は結構な賑わいで人も多かったが、建物はせいぜい二階建てと言った感じだった。


 流石に今日の今日とはいかなかったが、領主との面会は翌日の午後という事になった。ユキヒラが言うにはハポン地方は魔物も少なく至極平和で、統治システムも安定していて領主はそれほど忙しくないらしい。


 城から帰る道すがら、クニオはユキヒラに聞いて見た。

「ハポンにきてからあまり高い建物を見ないんですが、地震が多いんでしょうか?」

「流石建築士ですね。御明察です。ハポンは全体的に地震が多いんですが、特にキートのあたりは地盤の良くないところが多くて揺れが大きくなることが多いんです。昔は城にも物見やぐらがあったんですが、数年前に地震で倒壊してからは再建していません」ユキヒラの説明にクニオは頷く。


 領主に会うにあたってクニオには心配事があった。通常こういう場合、武器強化の目的を聞かれれば魔王討伐の為と答えるのが常套句だろう。人類共通の敵に立ち向かうわけだから、異国の武力を強化することになっても筋が通っている。しかし今我々のパーティーにはその魔王になる存在が所属しているぐらいだから、その理屈は通りそうもない。


 刀の強化に見合っただけの貢物でもあればいいが、そんな持ち合わせは思いつかない。コウがストックしている異国の酒ぐらいだろうか。何かこの土地にプラスになる提案が必要かもしれないなと思っていた。


「うん。この手で行こう」そういってクニオはコルビーに何事かをささやいている。

 そのあとグレゴリーとコウ、ユキヒラに向かってはこう言った。

「明日まで私とコルは宿屋の部屋にこもるので、食事はみんなでしてください。あと町でちょっと買い出しをするので、ここからは別行動としましょう」

「ふむ。何か思いついたようですな。大方明日の領主との交渉に関わる事でしょう。拙僧も手ぶらはいかがなものかと思っていたところです」流石グレゴリーは察しがいい。


「みやげなんて、私の酒コレクションから1本出しとけばいいんじゃないか?でも飲みたくない酒なんて持ってないから、あげなくていいならみんなで飲んだ方がいいな」独り占めするのではなく、みんなで楽しく飲もうというコウの発言には感動だ。


 とにかく、じゃあまた明日という事でキュリオシティーズとユキヒラ達は二手に分かれた。

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