橋の上にて(その4)
3人の元に戻ったグレゴリーは
「あの者が打ったとかいう刀はなかなかのものですな」そう言ってガハハと笑った。
「どうしてスキルの身体硬化じゃあの魔切丸には通じないと分かったんだい」コウがグレゴリーに聞く。
「拙僧のジョブスキル、先見があれば少し先の事が見えますからな。この湖の上…橋の上も同じことですが、魔法は使えなくともスキルは発動できる様です」
「ん?そんなスキルをいつの間にか身につけてたんだ」クニオは驚いてグレゴリーに聞いた。それまで全く気が付かなかった。
「いやですなクニオ殿。貴殿に初めてお会いした時から持ってましたよ。でなければドラゴンの吐く炎からなんて逃げられるわけがないでしょう。まぁそれはいいとして、どうですかクニオ殿、あのユキヒラとやらに勝つ算段はつきましたかな?」
これにはクニオより先にコウが答えた。
「何言ってるんだよ。クニオが勝てるわけないだろう。この湖の上は魔法が使えないんじゃ蘇生も回復もアイテム頼りになっちゃうじゃん。勿体ないだろう?そもそもクニオの刀とられちゃったら、ここに何しに来たのか分からなくなる…魔法が消されるって言っても限度があるだろう?上空からでかい隕石でも落とそうか?」コウが言うと冗談に聞こえないのが怖い。
「それは流石に色々な方に迷惑をかけるでしょうな。魔法が制限されていたら先日の居酒屋の机の様に、直ぐに橋を復旧することもできないでしょうし…」グレゴリーがコウを諭す。
「まぁ負けて刀取られちゃったら、その時はたらふく日本酒飲んで帰ればいいか」コウは全くクニオには期待していないようだ。
「まぁ、とにかくやるだけやってみるよ」
しかしそう言いながら、クニオ自身にも勝てるビジョンは全く浮かんでいなかった。
「師匠なら大丈夫です。でも一応これをお守り代わりにどうぞ」そういってコルビーは自分の冒険者の認識票を外して、クニオに手渡した。何かのおまじないだろうか、クニオは認識票をポケットに入れて、仕方がないのでユキヒラの方へ橋を歩いていく。数m程度まで近づいたところで、腰に差した刀を鞘から抜いて構えをとった。アマリアの盾は邪魔にならないように左上腕部に固定している。
「やっと本命の登場というわけでしょうか。しかし魔法なしであれだけ戦えるとは、いいパーティーメンバーですね」何かユキヒラは勘違いをしているようだが、あえてそこは黙っておこう。
「なんかあいつ上から発言で気に食わないな」コウはコルビーに言う。コルビーとグレゴリーは黙って橋上の戦いを見つめていた。




