橋の上にて(その2)
「でたでた~そうこなくっちゃ」コウははしゃいでいる。
「もし我と戦いそれに敗れれば、ここを通さぬだけではなく武器は置いて行ってもらう。戦わず直ちに引き返すのであれば止めはしない」そう言ってから男は4人の姿を改めてじっと見ている。そうしてまた続けた。
「見れば異国の者の様だな。知らぬかもしれないので言っておくが、この湖の上では魔素と魔力は拡散してしまう。なので魔法の類は使えないのでご留意願いたい」なるほど、この男の言うとおりであればここから先は直接攻撃だけの勝負になるという事だ。
「まじか、魔法が使えないのは聞いてないな~。私は肉弾戦は苦手だからみんなに任せるよ」そう言ってコウはくるッと振り返り後ろに下がってしまった。
「拙僧は武器を持っておらぬが、戦いに敗れても置いていくものが無い場合はどうすればよいのか?」グレゴリーがユキヒラに聞く。
「なるほど、確かに一名しか武器は所持していないようだな。パーティーとして向かってこられても構わんぞ」そうユキヒラに言われて、武器を使っているのは最弱の自分1人だけだというパーティーの特殊さに、クニオは改めて気が付いた。もしかしてこれは自分だけが戦う事になるのだろうか?クニオがそう思ったところでコルビーが話しかけてきた。
「師匠、刀を貸してもらえますか?」言われた通りクニオが刀を渡すと、コルビーは自分以外は下がっていて下さいという。グレゴリーとクニオがコウのいる橋の袂まで下がるのを見届けてから、コルビーはユキヒラに向かってこう言った。
「まずはお互い弟子同士、腕比べと行きましょう」いや間違ってはいないが、コルビーは建築の弟子ではあっても剣術は関係ない。というかどう考えてもクニオに弟子をとるほどの剣技はないだろう。
コルビーは鞘から刀を抜くと、鞘を橋の上に丁寧に置いてから両腕で刀を握って、前方に構えた。そうして構えたままでユキヒラの方へ近づいていく。ユキヒラは少し驚いたような顔をしている。
「子供だからと言ってお兄ちゃんは手加減しないぞ」ユキヒラはそう言った。そう、コルビーは見た目は10歳児くらいだ。刀もやっと両腕で持っている感じなので、真剣勝負をするには色々な意味できつそうだなと、少し同情する部分もある。
しかしユキヒラのそんな思いにはお構いなしコルビーが近づいて行くと、ユキヒラも背中の刀を抜いて構えた。波文の美しい日本刀だ。コルビーはユキヒラの数m手前まで近づいたところで足を止めた。二人は互いに刀を構えて相対する形になった。但しコルビーの体は子供のそれなので、はたから見るとかなりの違和感だ。
先に仕掛けたのはコルビーだった。大げさに振り被ると正面から切りかかった。ユキヒラは軽く一歩下がって交わすと、素早く振り被って逆にコルビーに切りつける。コルビーは横倒しにした刀を頭上に構えてその一撃を受け止めた。あたりに金属がぶつかり合う高い音が響いた。




