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第4話、魔力ゼロの現実〜2〜

神官の待つ部屋に入るとそこにはたくさんの騎士やら神官やら魔道士に王妃に王様、たくさんの

ギャラリーが俺を待っていた。


おぉ!みんなが俺に注目している!

この感じ異世界ぽい!!

ただなぁ、、注目のされ方が微妙すぎるよな〜


「アルスよ。こちらに。」


俺の父親、王に声をかけられそちらに

歩いていく。


「こちらはカンヘル神殿大神官のフェルト様だ、ご挨拶をしなさい。」



高い身長に細身の体格の優しそうな男性だ。

歳は30代後半くらいだろうか

思ったよりも神官が若くて驚いた。


「お初にお目にかかります。アルス=ロイトンと申します。この度は私のために遠方からお越しいただき感謝申しあげます。」


深々とお辞儀をする。どうよ!営業マンで

培ったこのお辞儀!!


「まぁ、さすがはロイトン国の王子様です。とてもご立派な挨拶ですね。フェルトとお呼び下さい。」


「はい、フェルト様。よろしくお願い致します」


「ではフェルト様息子を早速見ていただけますか?」


王は待ち切れないといった様子で催促する。


「では、殿下、私の手を握っていただけますか?」


フェルトに手を握るように言われフェルトの手を握る。フェルトの手を握った瞬間白い光に包まれ体が温かくなりなにか優しいものに包まれている感覚になる。


なんだこれ、あたたかい。今まで診察のために他の神官や魔道士などの光に包まれたきたがこんなに温かくて穏やかな気持ちになる光は初めてだ。

これが大神官か、確かにこれだけでも他の神官とは違うことがわかる。

光に包まれて数分たっただろうか光が消え

フェルトが手を離す。フェルトは深妙な面持ちで

一度ゆっくり目を瞑りため息を1つ吐いた。


なんだよ、どうなんだよ、治せるのか?


フェルトがなにも話さないので静寂な時間が過ぎていく。何も言わないのが怖すぎる!


「フェルト様、診察は終わりましたか?どのような状態なのでしょうか?原因はわかりましたか?」


静寂を破ったのは王妃である俺の母親だった。


フェルトは俺の肩をぎゅっと握り

王と王妃を見つめて話し始めた。


「診察は終わりました。ただしかし、ありえないのです。」


「ありえないとは?」


「魔力回路が存在しないのです。この世界に生きる人間はどなたでも魔力を作る回路を持っています。

魔力とは生命エネルギーみたいなものです

なんぼ魔力を消費したとしてもわずかな魔力は残ります。残っていないと生きていけないからです。

仮に魔力がもし枯渇したとしても生命を維持するくらいの微量の魔力は残っているはずなんです。

しかし殿下は魔力回路が存在しません。

普通魔力回路がない人間は生きていけないのですが

殿下はお元気そうに見えます。このように魔力回路が突然消えるという症例は私も見たことがないのです。」


「そ、そんな、、」


それを聞いた王妃はショックのあまり

倒れてしまった。倒れる王妃を支えた王も

動揺が隠せない様子だ。


「フェルト様、魔力回路を作り出すことはできますか?」


俺はかすれた声でフェルトに尋ねた。

フェルトは辛そうにこぶしを握りながら

答えた。


「申し訳ありません、殿下。魔力回路を作り出すことは私でも出来かねます。おそらくそんな事ができる者がいるとしたらそれはもはや神でしょう。お力になれず、本当に申し訳無い。」


あーどうしよう叫びたい。

怒りが、怒りが、落ち込むより怒りが!

落ちこんでなきゃおかしいだろうから

我慢だー我慢だ、俺〜〜!!


「そうですか。今日は本当にありがとうございました。すみません。今日はもう席をはずしてもよろしいでしょうか?」


落ちこんでる俺をみたフェルトはもちろんですと言ったので俺は部屋を後にした。

さすがに魔力回路がないと聞いて落ちこんでいるだろう俺を止める者は誰もいなかった。


落ち込んだふりを全力で頑張り

部屋をでて自室に戻ると力いっぱい俺は叫んだ。


「あのクソ女神!なにがチートプレゼントだよ!

魔力回路がなかったら魔法もなにも使えねーだろーが!許さん!あの女神に絶対文句言ってやる!

クソ女神がーーーー!!!!」


落ち込んでなんかいられるか!


クソ女神!絶対異世界ライフ謳歌してやるからな!おれの叫びが自室で鳴り響いていた。

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