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隣の席だと彼女が見えない。

作者: ミッシェル

主人公の恋の基準は頭がいいかどうか

この間の学力テストの数学で斜め前の席の女子に負けた。特に大きな間違いをしたわけでもないので、悔しいというより『あれ?』っていう感じだ。


今まではその子のことは視界にも入って無かったけど、最近は授業中気づくと目追ってる。クラス名簿も見てなかったので、彼女が男子みたいな名前だったこと、テストの答案の字が綺麗なこと、理系教科はほとんどクラストップを取ってることをなんかを初めて知った。あと、いつも一緒にいる女子グループは、『吹奏楽部』の仲間だそうだが、俺でも知っている『進学科の才女』と呼ばれてる子もその一員にいた。


うちの学校は、進学科と普通科があって頭のいいやつはほとんど進学科に行っている。学内テストの順位は学年全体で出るので、普通科でも進学科より成績が上のやつは何人かはいるが女子は珍しい。


ふとした時に目で追ってるのでさすがに友達には気づかれた。彼女と取り持ってあげようかと言われたけど、付き合いたいとかではなくて、何というか彼女解いた問題が読みたい。


---


意を決して次のテスト返しの時に答案を見せてと話しかけてみることにした。彼女はあまり男子と積極的に話す方ではないので、いきなり話しかけたら嫌がるかな。勉強が出来ないから教えてとかだったら声をかけられるけど、字が綺麗だから答案を見せてほしいって急に言われても変人扱いだろうし。


「あ、『さえさん』数学のテスト見せて欲しいんだけど。」


「問題おかしなところあった?」


後ろの席から呼びかけても驚かれるだろうから席の横に立って話しかけた。


「えっと、この問題をどう解いたか知りたくて。」


意外なことに、同志を見つけたような笑顔で答えてくれた。


「やっぱりこの問題難しかったよね。習った方法で自信なかったから、こっそりグラフを使って検算して答えを出した。」


他にも何問か解答を見せてもらって、問題の難度をざっと議論して話が終わって、答案を片付けようとした手を思わず掴んでしまった。


気まずい雰囲気になってしまったので正直に話すことにした。


「あの、正直にいうと、『さえさん』の数学の式が綺麗で一度しっかり見たかった。変だよね。」


彼女がいきなり笑い出した。


「なんかうちのママみたい。変な人なんだ。」


彼女の家は理系一家で、お母さんも彼女の数学のテストの解答が大好きらしくて、ずっと眺めてるらしい。


---


その後、彼女とはよく喋るようになるわけでもなく、高3になってクラスが分かれてしまって彼女を見ることはほとんどなくなった。彼女はお父さんと同じ分野に進むそうで、教育学部に行って数学の教師になる俺とは進路が分かれる。教師になったらたくさんの答案が見れるだろうけど、あの日の彼女の答案を超えるものとは一生出会えないだろう。




彼女の名前は『才』と書いて『さえ』。

名簿だと理系クラスで男子にいつも間違えられる。


主人公は無意識に『進学科の才女』が好きでした。

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