俺はジョン。ジョンタイター
俺はジョン。ジョン・タイター。
アメリカ中東部帝政共和国軍大佐。
2020年末に、アメリカ合衆国は内戦に陥った。
2020年のバイデン暗殺事件が発端だ。
アメリカ大統領選を勝利したバイデンが狙撃によって暗殺されたのだ。
民主党支援者はこれを共和党の犯行だとし、全米の都市部が暴徒であふれかえった。
ドナルド・トランプ大統領は国家戒厳令を発布。
そして軍による暴徒の鎮圧と圧制が始まった。
民主党のカマラ・ハリス副大統領候補は大統領に留まり続けるトランプを糾弾し、カルフォルニア州への遷都と自身の副大統領としての権威が正当なものであると宣言。
そして自身を第46代大統領として、新政府を樹立するとともに、『自由の女神作戦』と称した、共和党に支配された軍との戦争を始めた。
俺はフロリダで産まれ、やがて陸軍に入った。
俺が産まれたのは1998年、アメリカ内戦において俺は共和党軍の兵士として、民主党軍との戦いに明け暮れた。
もう一つ言うが、俺はこれを読んでいる君たちと同じ世界に産まれたわけではない。
世界には世界線というものがあり、みな多様化した世界を生きているのだ。
ここは比較的世界線が俺のいた世界と近いが、中には人類が2020年より前に滅亡してしまっている世界線も、全く科学文明のない世界線もある。
この世界線ではコンピューターの2000年問題はまったく起きなかったが、俺がいた世界線は2000年に起きたコンピューター問題で、『黒い季節風』呼ばれる大事件が起きた。世界中のコンピューター機器がまったく動かず、工場も列車も停止し、経済も止まって各地で便乗した大暴動が起きて世界は滅茶苦茶になってしまった。
これを修正したのは、この俺、タイターだった。
十分に稼働するIBM5100を入手し、元居た2036年に持ち帰った。
そこの研究所で黒い季節風問題を解析し、IBM5100を1999年にまた持ち込み、コンピューターウイルスとして2000年問題の修正パッチを世界中にばらまいた。
おかげで2000年問題は未然に防がれた。
次に2036年のアメリカ国民が後悔している問題が、今回のアメリカ内戦だ。
さあ、ファイナルミッションを始めようか。
俺はジョン・タイター。
2036年から来た、タイムトラベラーだ。