餌付け2
やはり、意志疎通手段が必要だ。
俺は、寝起きのあくびをし、周りを確認しながらそう感じた。
ここに残っているのは、とっくに燃え尽きた焚き火の跡と鹿もどきの骨と俺だけのようだ。
朝日と共に吹いてくる、澄んだ風が息を吸った時に肺に満ち、とても心地よい。
女と少女は日が登る前に去っていった。
女が起きたときにこちらに魔法を放とうとするから、少女が慌てて止めてくれた。
俺は、寝返りということでごまかしたが焦って少し体を動かしてしまった。
その後、少女は女が寝ていた間に起きたことを話したのだろう。
女は俺のことを攻撃対象からはずしたようだったが、警戒は随時されていた。
やはり、餌付け作戦は短期では成功しない。頭のいい動物だとなおさらだ。時間をかけていこう。
さて、追いかけるついでに今日の分の餌を腹にいれるとしよう。
目標は3匹だ。
俺は、のびをしてから狩りに向かった。
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数時間後
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3匹とはいったがウサギっぽい動物しか見つけられなかった。
もう、俺の体格は熊位はある。ウサギもどき3匹だと少し足りない。体のスペックは良いが、燃費はよくはないようだ。
もう一匹捕ってあるが、量が量だけに一匹まるごとやらないと、充分な餌付けができないだろう。
渡しに行こうとしたその瞬間、一つ気づいたことがある。
「奴等、俺が渡した鹿もどきの肉持ってるんじゃね?」
確か、焚き火の跡に肉は残っていなかった。
あの量の肉を二人で、あの体格で食べきれるわけがない。
「これはミスったな。」
あの量で節約して食べていけば。しばらく持つはずだ。
どうしようか。
今の俺に目的地はない。道をずっとたどって行けば町に着くとは思うが、明らかにモンスターとして判断されるだろう。
そうなれば、さらによく分からない魔法を使ってくる奴がいないとも限らないし、銃があるという可能性もまだ否定できていない。
奴等の食料が切れるか、襲われるのを待つしかないが複数の不確定要素に作用されることになる。それはいただけない。
しかし、そうも言ってられない。ここで諦めれば次のチャンスはいつになるか分からない。
「………尾行だな。」
やることは決まった。ただ、ついていくだけでは非常につまらない。
20mほどの近さで奴等を観察することにした。この距離であれば奴等の声もそこそこ聞き取れるはずだ。声を潜まされると聞きとれはしないと思うがこれ以上の接近は女に感づかれる可能性がある。
うさぎっぽい動物を腹の足しにして、行動を開始した。