けんじゃぁ
冗談だ。
てか、今出てくんのかよ! 遅せーよ!木に着いた時に出てこいよ!しかもなに若返ってんだよ!
「いやー、王都襲われてるし、ここでまってたら出てくるかなーって待ってたら、寝ちゃっててw あ、君が今の勇者? よろしくね~」
ぶっとばすぞ。助けに来いや。こちとら、隠し通路に一縷の望みかけたんやぞ。
「あ、お二方のお名前聞いても良い?それと、このワンちゃんも」
「申し遅れた。私はローデンズヘルト国、王女のフェリス·ローデンズヘルトだ。知っているようだが、今の時代の勇者だ」
「私は、殿下の専属メイドをさせていただいている、メルト·アーデルライトです。以後、お見知りおきを」
「こっちのワンちゃんは、ゾルディアって言うの!私の初めての友達なんだ! ケントはどこにいたの?」
メルトやアムディアの言っている意味がわかる。誰か「ラング」を使っている。
十中八九、賢者だろうけど。
「よろしくお願いします。ちなみに、僕は、僕の家の地下研究室で寝てましたw アムディアに手紙渡すの忘れててw 多分、300年ぐらい経ってますよねw」
はっ倒すぞお前! 森に帰るところだったじゃねえか!
なんか、ムカつくなこいつ。
「まま、積もるお話もあるでしょうが、時間が勿体無いので、歩きながら話しましょう。」
…………
……
…
「えー、たいへんでしたねぇ!」
こいつ、本当に賢者か?思ってなくても、もうちょい心込めろや。
現在、隣国カトレムを目指している。
最短距離のルートに都市が2つ、要塞が1つあるようだ。
ここから4週間ほどで着くのが、一つ目の都市、ユートラレスト。人口規模は200万人。 魔王軍に侵略されているかは不明。
一方俺の目的は森へ帰って平穏な生活へ戻る。しかし、賢者からは情報を得たい。賢者と二人きりになるチャンスを作る。
しかし、その前に、俺に入ってきた新しい力をどうにか知覚しなければいけない。禍剣さんや人形が喋れるように、恐らく新しい奴も喋れる。
多分だが、今は勇者や、賢者が近くにいるため、息を潜めている。
今日、日がくれたら、離れた場所で聞いてみるか。
「勇者の力が不完全かぁー。僕と一緒に来たユウハはそんなこと無かったんだけどなぁー。」
「初代勇者様のお話、聞かせて頂けませんか!」
フェリスは興味津々だ。
ちなみに、俺も聞きたい。
「最初から話すか、300年前だから俺も忘れてるところあるからw 順番にな。」
賢者の昔話が始まった。




