出会い3
「さて、さて。」
お楽しみの時間だ
死んだ兵士の後片づけをしたいと思う。
人間は初めてだ。
……なかなか時間がかかってしまった。感覚がとても冴える。あぁ、最高だ。
さて、女たちを追いかけようか。
簡単だ。 少女が兵士の返り血を浴びているからな。
俺は女と少女が逃げていった方へと歩を始めた。
やはり、血が草木に付着し道標を人の手が入っていない森に残している。
嗅覚と、目視で追えるのはかなり嬉しい。
しかし、やはり元人間だった影響か、目視で確認できないと落ち着かない部分はある。
1時間たっただろうか。 女たちに追い付くことに成功した。
ずいぶん逃げているためか、女の方は消耗が激しいようだ。少女が心配している。
ここから俺は気配を殺し、草むらの影に身を潜める。距離は目測15mほどだ。
なにかを話しているようだが相変わらず聞き取れない。
女が少女にナイフを渡そうとしているが少女それを拒んでいる。
まぁ、身ぶり手振りからだが、少女に先に逃げろといっているのだろう。女はかなり焦っている様子だ。
こちらとしては女だけが残った方が都合が良い。使えそうなのは女の方だけだ。
突然、女が周囲を見渡し始めた。
15mも離れている上に、辺りは日が落ちかけ薄暗い。巨体であっても草むらの影にいる俺のことは視認できないだろう。
余裕を持ちながら観察をしていると女が倒れた。少女を守りながらの逃走で疲労がたまっていたのだろう。
やっとだ。
俺は、突然倒れた女とそれに対し、どうすればいいのかわからずおろおろしている少女にゆっくりとわざと音を立て、歩いて近付いて行った。