依頼完了
「森の案内はバートにやらせようと思っとるのじゃが、どうじゃ?」
ダリが俺に視線を落とす。
「大丈夫だ。こいつがいる。」
俺がふんす、と鼻息を立てると村長は納得したように頷いた。
「そうか、そうか。じゃあ頼んだぞ。ただ、帰ってこなくても捜索とかの面倒は見れんからの。」
「理解している。」
話は終わった。早速、俺とダリは森に向かった。
……………
………
…
「グレーベアーの痕跡だ。」
俺は臭いを嗅ぎながら一つ、思い出した。
「一つ言って無かったことがある。」
「なんだ?」
「俺は、血の臭いを嗅ぐと意識が無くなる。」
「そうか。戦闘はお前に任せる。処理は私に任せてくれ。」
「話が早くて助かる。グレーベアーの特徴を教えてくれ。」
たぶん食ったことあると思うが、いまいち覚えていない。熊っぽい奴は3種類ぐらいいたような気がする。
「体長は1mから3m、名前の通り毛の色は灰色だ。カカの実を好んで食べる。」
「カカの実?」
「酸味が強い実だ。」
「わかった。確かに酸っぱい臭いがする。」
グレーベアーの臭いをたどって追跡を始めた。
………
……
…
特に何も無かった。
グレーベアーを30分で発見した俺は元の姿に戻り、奇襲をかけてグレーベアーの喉を串刺しにして討伐終了。
ダリが禍剣を使ってグレーベアーの解体して討伐証である爪と牙、換金できるという毛皮を取った後、残りは埋めた。
肉は、ガントボアというイノシシっぽいのを見つけてグレーベアーと同じことをした。ランクはFらしい。
だいたい出発してから約3時間で帰ってきた。あまりにも早かったため、村長が目を丸くしていた。
依頼で銀貨4枚、ガントボアで銀貨8枚合計銀貨12枚を報酬で貰った。毛皮を村長に見せたがここまで完璧ならローデンズヘルトに着いてから売った方が良いと言われたようだ。
ダリは銀貨2枚を使ってリュックやナイフなど旅に必要な物をあらかた揃えた。
そして村を出て宿がある次の村に向かった。
大きなミスをしていたことに気がつかぬまま。




