表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
犬かよ  作者: oz
42/62

箱(しゃべる)

 現在、町から脱出し、丘を越えた先にある森の中にいる。

 

 脱出する間、ずっと箱はしゃべり続けていた。時折、トカゲ人間が反応を返すのだが、脱出から、森に入るまで約1時間ずっとしゃべっている。


 で、今何をしているかと言うと、トカゲ人間が、厳重、厳格に施錠されている箱に石をぶつけて壊して開けようとしている。


 のを、考え事をしながらその様を見ているだけだ。


 トカゲ人間からの壊してくれという催促を無視した結果だ。


 理由は単純。考える時間が欲かったからだ。

 ただ、何をやるにしても結果は一つに収束。最初から箱を開けることは決まっている。


 問題はその後だ。

 箱の中身はトカゲ人間の仲間かもしれないが、俺の味方ではない。


 俺は、この懐かしい匂いを持つ奴を一つ倒して、能力を保有している。

 それが原因で、敵対される可能性は十分にある。


 それに対し、敵対されなかった場合、このしゃべる箱から情報を聞き出さなければいけない。

 だが、言葉の壁が大きすぎる。


 しゃべり続けるこの箱の言葉を一切理解できない。

 賢者の元住居で会った、唯一俺と話ができたアムディアがいれば話は別だったが、俺はあいつと離れる選択をした。


 このトカゲ人間と、デカイ犬、しゃべる箱なんて組み合わせなんてどこの国に行っても落ちは見えている。あいつの所に行くのは無しだ。


 

…………ジェノサイドでいくか?

 

 トカゲ人間は脅威にならない。未知数なのは箱の中身だけだ。禍剣でなら箱を施錠している物もろとも粉砕することが可能だ。


 箱の中にいるこの状態で俺の戦力を把握出来ているとは思えない。禍剣の能力が手に入ったのは恐らく禍々しい霧を浴びた時だ。ならば、先制攻撃してこの箱の中身を粉砕してしまえば情報は手に入らないが、能力は手に入る。


 これは、最初から明確な敵対行動だ。禍剣が通じなかった時のリスクが大きすぎる。

 能力はもちろん、情報も手には入らない。さらに、攻撃が通用しない敵ができる。

 最悪だ。


 というわけで、結論:相手の出方次第。


 さっさと行動に移そう。


 相変わらず、石で錠を叩いているトカゲ人間に離れろと合図を送る。


 禍剣を1本出し、錠に叩きつけると同時に光を淡く放ち、錠が落ちた。結界か何かを同時に壊したらしい。


トカゲ人間はすぐに寄っていって箱を開ける。


懐かしい匂いが箱から吹き出す。


俺は少し距離をとり、その様子を見守る。


トカゲ人間が取り出したのは



人形だった。


「いやー、シャバの空気はやっぱり良いもんだな! なははははは!」



……もう、何も言うまい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ