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再突入
「いや、やっぱ無理やろ。」
俺が脱出した町の入り口は炎によって塞がれていた。
尋常ではない熱気が吹き付けてくる。
幸いなことに人間の姿は無い。
これは俺の強化案件は燃え尽きてると考えても良いがトカゲ人間の着けているセンサーの針は相変わらず町の方向を指している。
これ、町じゃなくて、その向こう側にあるのでは?
俺が立ち止まって考えていると、トカゲ人間は背中をバンバン叩いて町に入れと急かしてくる。
え、この熱気を感じないの?
炭になりたいの?
この町に目的の物がある確証があれば多少のリスクを取ることはやぶさかではない。
センサーが指している方向の垂直方向に少し走れば大雑把だが位置を割り出せる。
これで町に入るか決めよう。
実行に移そうとすると、トカゲ人間が俺の背中で魔法を唱え始めた。
魔法が発動するとさっきまで吹き付けてきていた熱気を感じなくなった。
魔法って便利ね。俺も使いたい。
これで、町に目標がある、ないに関わらず最短距離を進めるということだ。
俺は炎で塞がれている町の入り口に突っ込んだ。
……途中でこの効果切れないよな?




