出会い1
燃えた現場を一望できる切り立った崖の上に来た。
「本当にデカイ家だな。」
久しぶりに独り言をいった気がする。 まぁ、言えてないのだが。
燃えたものの臭いと同時に、血の香りと、異臭(恐らく生き物が燃えた臭い)を強く感じた。
早く現場を見てみたいのでどこから降りようか検討していると、なにやら異音が聞こえた。
「森の中からだな。」
人の声もする気がする。
俺は、すぐに行動を開始した。
近付くにつれ、異音がはっきりして来た。
「戦闘音だな。」
そして、ついにその姿を目にする。
「おお! 人間だ!」
ここが、どこか、どんな世界なのか知るには人間とのコンタクトが最重要項目であった。
さて、状況だが、兵士4人が女と少女を包囲し、何やら話しているようだった。
女は少女を守るようにして立っている。
女の格好は執事の格好で剣を持っている。凛々しく、中性的な顔立ちで、胸部の膨らみがなければどちらか分からなかっただろう。一方、少女は、執事の服を掴み不安そうにしている。服装は明らかにお金持ちのお嬢様って感じだ。顔立ちは将来有望な美少女になりそうである。
そして、兵士はと言うと下卑た笑いが顔に張り付いていた。
どちらが悪かは、一瞬で判断できた。
そして何よりも少女が執事の服をつかんでいることから信頼していることが見て分かり、執事とお嬢様ということで違和感は一切ない。
何やら話し合っている様だが内容が全く持って、全然理解できなかった。
それは覚悟していた。異世界であれば文化や生き物、習慣が違うからだ。
交渉が終わったようだ。 女が剣を捨て、両手を上げた。
兵士共の下卑た笑いが深まる。
兵士共が剣を納め女と少女に近く。
……もう、何が起こるのかは分かっている。女と少女は襲われる。
しかし、女の表情に諦めはない。恐らくナイフか何かで刺し違えるつもりだろう。
その顔をみればわかる。兵士たちも気づいているだろう。
俺は、もうすぐ来るであろう機会に備えた。