いーや
なにどうなれば、スケルトンが人間に変わるんだ?
俺は今まで幻覚を見ていたのか?
いや、しかしスケルトンの腕を俺は一度取ってしまった時があるが肉が着いている感じは一切しなかった。
「ん、んん。」
突如上がった声に俺の浮かび続ける疑問にストップがかけられた。
思ったより高い声だ。
そんな感想も束の間、青年の隣に寝ていた鎧が身を起こした。
俺は、すかさず距離を取る。
だが、鎧は身を起こすと、しばらくボーっとしていた。
すると、ガシャーンと後ろに倒れ仰向けになった。
何なんだ?
スケルトン同様、あいつも受肉でもしたのか?
ずいぶん生き物、人間に近い動きをしていた。
身を伏せてしばらく立つと、また唐突に鎧が身を起こした。
隣に寝ている青年に気が付いたようだ。
「~~~!~~~!」
青年の肩を揺らし、起こそうとしている。
多分、鎧は青年の名前を呼んでいる。
分からんけど。
青年が目を覚ましたようで、身を起こす。
すると、鎧は青年に抱きつき大きな声で泣き出した。
青年は優しくなだめている。
ひとしきり、鎧が泣き終えると青年は鎧の兜を取った。
すると、中から、薄い金色の髪が溢れだした。
泣いていたせいで目元が赤いが、美人で有ることが見てとれる。雰囲気的にはどこかのお嬢様だ。
鎧を来ているのため、顔と格好はミスマッチしているが。
出ていこうと思ったら、段々青年とお嬢の雰囲気が良くなってきてしまった。
砂糖吐きそう。
だが、1つ言っておきたいことがある。
青年よ、貴様、今、裸だからな?風邪引くぞ?
俺の言いたいことが伝わったのか、お嬢は青年が、青年は自分が裸であることを認識したようだ。
互いが背中を向け、顔を赤らめうつむいた。
そして、またポツポツと会話を始めた。
なにこのラブコメ世界。なに? 一人者の、いや、一匹者への当てつけですか? あー、いーや。花持って来たけどいーや。永遠にナパームし続けて下さい。
花をその場に捨てた俺は、気が付かれないようにスケルトンホームに移動すると、新天地を目指して放浪を再開した。




