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犬かよ  作者: oz
30/62

いや、

とりあえず、町を出るために目印になる、スケルトンのホームを目指していると、道中にあの禍々しい見た目の剣が落ちていた。


焦って放り投げたのが原因か、戦闘があった地点から相当遠い所で地面に突き刺さっていた。禍々しい何かに包まれる瞬間はまだ壁はあったはずだ。機能しなかった?


まあ、過ぎ去ったことはもう、どうでも良い。


口で柄の部分を咥え、引き抜く。

しばらく咥えていたが、何も起きない。


この剣は、力を失ったのかもしれない。

何の力だったのかは一切分からなかったが。

アンデットだったのかも怪しくなってきた。


自分も剣を使えないか、ブンブン振り回してみるが剣が小さすぎる。


ふと、1つのことが頭をよぎった。


俺、この程度の剣だったら壊せるんじゃ無いか?


剣の刃の部分に牙を当てるように咥え直すと、思い切り顎に力を入れ、噛み締めると案外簡単に剣を破壊することができた。


破片を吐き捨てると、破片は塵になり、風に吹かれ跡形もなくなった。


……この世界は武器を破壊すると、塵になるのか?


………

……


他の武器でも試したかったが、周囲をキョロキョロしながら歩いているとスケルトンのホームについてしまった。


相変わらず、綺麗に花が咲いている。

ふと、スケルトンのことが頭によぎった。


「………あいつと鎧にも。」


ここにいるのは俺とスケルトンだけだった。スケルトンに花と哀悼を捧げることができるのは俺しかいない。

そして、おそらく鎧はスケルトンにとって大事なひとだ。

せめて、どちらも安らかであってほしい。


俺は口でいくつか花を摘むと来た道を戻り、スケルトンの元へ向かった。


………

……


鎧を倒した場所に着いた。


座っていたスケルトンは見当たらない。

おそらく、眠りについたのだろう。大事な人の傍らで。


鎧は装飾が派手なため直ぐに見つけることができた。

隣に誰か寝ている。


が、何か様子がおかしい。


近付いて行くと、はっきりしてきた。


寝ていたのはスケルトンでは無かった。

変わりに裸の青年が鎧の手を握り、静かに寝息を立てていた。


「………いや、そうはならんやろ。」









さっさと投稿することを心掛けます。

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