日が沈むまで
朝が来た。
いつの間にか眠っていたようだ。
スケルトンがいたところに戻るとスケルトンは既にいなくなっていた。取ってしまった腕は残ってなかった。
くっついたのか、それとも消滅してしまったのか定かではないが本当に申し訳ないと思う。
スケルトンは恐らくまた巡回に出ているはずだ。
俺はスケルトンが戻ってくるのを待つことにした。どうしても腕の所在が気になるからだ。
………
……
…
5分ほど待つとスケルトンが帰ってきた。
腕はくっついていた。
その姿をみて俺はひとまず安心した。
スケルトンは相も変わらず花を摘むとまた町へ歩き出す。
その姿を確認すると俺は町の散策を再開する。
恐らくこの町は円系の形をしていると思われる。
スケルトンについて行き、この町を回ったがスケルトンは町の中心部には行かなかった。今回はそこを探索したいと思う。
俺は町の中心部へ向かった。
………
……
…
町の中心部は中心部なだけあって崩れた石には装飾が見てとれたが、周りの居住区のような場所と違って損壊具合が激しいような気がする。瓦礫の量が多い。
周りの居住区はまだ建物の原型が残っていたが、ここは巨大な俺からすると見晴らしがよいぐらいだ。
すると、俺は瓦礫が一切ない広場のような所を見つけた。
近付いて見ると中心には枯れた、そして崩れた噴水が見てとれた。
しかし、それよりも目が奪われたものがある。
その噴水の縁に鎧を着た人間が腰をかけていた。
怪しさ満点だ。
姿勢を低くし、瓦礫に身をできるだけ隠し、近づき、その様子を伺う。
鎧は豪華な装飾が施されており、戦闘向けに作られた様には見えない。
顔は下をむいており、顔は一切見えない。
そして、片手は地面に剣を突き立てているのだが、その剣が異様だった。
鎧は豪華な装飾が施されているにもかかわらず、剣はいかにも魔剣のような色、形をしているのだ。遠目で見ても禍々しさを感じる。
「あれは近付く気にはならないな。」
ゲームでいえば、明らかに近付けば強制ボスイベントが始まるだろう。
しかし、めちゃくちゃちょっかいを出したい。
もし追ってきても俺の足ならば逃げ切れる自信がある。
というわけで、俺が取る行動は一つだ。
俺は口に石を咥えると鎧にたいして投合した。
が、外れた。
さすがに一発では当たらない。
もう一度口に石を咥え投げようとした瞬間、尻尾が引っ張られた。
石を咥えたまま尻尾の方を見ると、スケルトンが片手で尻尾を引っ張っていた。
口に咥えた石を地面に下ろすとスケルトンは尻尾を引っ張るのを止めた。
そして、次は俺の後ろに回ると鎧と反対方向に俺を押してきた。
「ちょっかい出すなってことか?」
もちろん俺はびくともしないが、スケルトンは一所懸命に押している。
俺はスケルトンに従うことにした。
俺が立ち上がるとスケルトンはズテッとこけてしまった。
立ち上がるのが急過ぎたようだ。
申し訳ない。
スケルトンの押した方向に進み、居住区のような場所まで来る、とまたスケルトンは巡回を再開したらしく、歩いていってしまった。
もちろん、俺は諦めたわけではない。
日が沈むまで待つことにした。




