やべえ、
スケルトンの行動はいたって単純だった。
俺が見た骨がたくさんある廃墟は他にも数十箇所かあり、スケルトンはその廃墟を全て周り、祈りを捧げていた。
花は町の中に群生地があり一ヶ所の廃墟に行ってはその場所に戻り、花を摘みまた別の廃墟へと向かう。
廃墟の中には完璧に崩れ、瓦礫の山と化してる場所もあった。そこでも同じように祈りを捧げていることから恐らく瓦礫の下に骨があることが推測される。
「生前は聖職者だったのか?」
ダメ元で話しかけてみた。多分唸り声にしか聞こえないと思うが。
するとスケルトンはこちらを振り替る。
が、骨のため表情もわからない。ただこちらを見つめているだけ。
聞こえているかも怪しい。ただ骨に伝わる振動で振り向いただけなのかもしれない。
だいたい5秒ほどたつとスケルトンはまた歩き出した。
そして、日が傾いて来た頃、廃墟を全て回ったのか、花の群生地まで来るとそこに立っている木の根元に腰を掛けると動かなくなってしまった。
もちろん、俺はこのチャンスを逃がさない。
すかさず近付くと、スケルトンの観察をした。
よく見ると、骨と骨はくっついておらず何らかの力で繋がっているように見える。
前足でツンツン触ってみる。
スケルトンは反応を示さない。
調子にのって腕を咥えて引っ張ってみるとスッと外れてしまった。感覚としてはくっついている磁石どうしを離す時の感覚に似ていた。
俺は内心「おー。」と感心していた。
しかし、それは束の間だった。
「やべえ、腕、戻らんやん。」
元に戻そうと、取ってしまった部分に腕を持っていくがすぐに地面に落ちてしまう。
磁石みたいに取れたため、磁石のようにくっつくと思っていたのだがその宛が外れてしまった。
今の気分は人の物を壊してしまった、あの罪悪感と一緒だ。
「消えたい……。」
幸いスケルトンは未だに反応を示さない。
こうなれば取れる手段は一つだけだ。
俺は取ってしまった腕をスケルトンの脇に置いて、一礼すると風よりも早くその場を離脱した。
そして、適当な廃墟を見繕い寝床としてさっさと寝ることにした。
もちろん、しばらく寝ることはできなかった。




