好奇心
俺は低くバックステップをする。
本当にびっくりした。
完璧に油断していた。
いくらなんでも10m圏内に侵入を許すとは思わなかった。
見た感じ、敵はスケルトンとみて間違いないだろう。
すぐさま、走りよってきて攻撃するかと思ったがスケルトンは動かない。
本当に直立不動だ。
生き物ならば呼吸など恒常的な部分が多いため動向が分かりやすいがスケルトンからは一切そういったものを感じない。
まさに不気味だ。
というか、骨が勝手に組合わさって動くとか面白すぎるわ。
何個か骨をとってもう一回くっつくのか実験してみたい。
正直、俺の脳が体格差からしてあまり脅威にならないと判断しているが、ここはファンタジーそういったものは信じてはいけない。
現に目の前で骨が立っているのだから。
………
……
…
1分ぐらい互いが見つめあっている状態が続いている。
時間がたったこともあって最初にびっくりしたのも落ち着いて来て、気がついたことがある。
スケルトン、片手に花持ってる。
え、何で?
あれか? あの中の骨、元は仲間だった?それともあの骨実は全部スケルトンで「お花持ってきたよー。」とかするつもりだった?
わからなすぎる。
すると、直立不動だったスケルトンが歩き始めた。
ただし、さっき俺が頭を突っ込んでいた廃墟の方にだ。
俺はそれを警戒状態で緊張しながら見ていた。
そして、そのままスケルトンは廃墟の中に入っていった。
それを見守った俺は安心と同時にとてつもない好奇心に駆られた。
俺の脳裏から離れない好奇心というのは、もし、スケルトンが仲間のみんなに「お花持ってきたよー。」だったらどうしよう。ということだ。
めちゃくちゃ見たい。
死んでも見たい。
むしろ、それで死んだら死んだでそれも面白い。
俺は音をたてないように入り口に近付くと中を覗いてみた。
すると、思ったよりもスケルトンは手前にいた。
入り口から1~2mのところだったため、ここでもびっくりしてしまったが、スケルトンが何をしているのかが見てとれた。
死者への哀悼だった。
この世界の宗教か何かはわからないが、手を組み、片ひざを立て、祈りを捧げていた。
俺はそれを確認すると中を覗くのを止めた。
…………
……
…
約3分ぐらいすると、スケルトンは廃墟から出てきた。
俺のことを一瞥すると、また歩き出した。
もちろん、俺もついていく。
もう、好奇心に抗えない。




