廃墟と骨
ドラゴンを食べてから1週間たった。
その間、一度も食事をしていない。
腹が減らないのだ。
体格は地球の動物でいえばいえば象とほぼ変わらないだろう。この巨体で食事をしていないのはハッキリ言って異常だ。もはや生き物なのか自分で不安になってくる。
だが、それもこれもファンタジーだと考えれば諦めもつく。
もうファンタジーのせいにするのが癖になってきたところだ。
そして、今俺の目の前には明らかに古い時代のものとわかる廃墟がポツポツと現れ始めるようになった。
できるだけ人間の生活範囲から遠ざかろうと森の奥に入ってきたため、人工物があるとは思わなかった。
廃墟はほとんど原型をとどめていなかったが石を削り建材としていたようだ。
余談だが、俺は廃墟が好きだ。
人工物に無造作に生えている草木が何ともいえない。
基本的に人工物に沿って草木が生えるため、自然と空間が生まれ、そこに崩れた隙間から光が差し込み空間に光と影が共存する。俺はそこにノスタルジックを感じる。
ぽつぽつと出てくる廃墟を一つ一つ確認しながら歩を進めると、元は町だったと思われる場所に出た。
多くの建物が崩れている。
これだけ大きな町なのに滅んだのだろうか。人間の骨がないことから恐らく戦争などで滅んだものではないと思われる。
何か生き物が住み着いていてもおかしくないと思うがその形跡もない。
さらに歩を進めると、形の残ったデカイ建物を見つけた。外観からみた感じではドーム状で宗教のために作られた建物のようだ。何やらシンボルが飾られている。
扉があったであろう場所は鉄の錆びた蝶番が、落ちているだけで邪魔をするものはない。
これだけ大きな廃墟はみたことがないため、少しうきうきした気分になった。
大きな建物のため、入ろうと思えば入れるが崩れる可能性も考慮して頭だけ突っ込んで中の様子を見てみた。
そこで、この廃墟の町に来て初めて人間にあった。
全部骨だが。
所狭しと敷き詰められている。
山になってないことから死体を積み重ねて放置した感じではないようだ。ここに集まって何らかの死を遂げたように見える。
これはこれでなかなか風情がある。
この大きな廃墟と人類の成れの果ての姿、それを養分に石畳の隙間から生える草木そしてそれを照らす光、それによってできる影。
しばらくこの風景を眺めていた。
………
……
…
どれぐらいこの風景を見ていただろう。
そろそろと思い、頭を廃墟からだし、他のところも見てみようと振り替える。
「ワ゛キ ャ ウ !!!」
ビックリしすぎして変な声が出た。
後ろに人間が立っていたのだ。
骨の。




